コラム

2006/09/29

成長し続ける百科事典(水・HN)


▼最近、インターネットの検索サイトで語を調べると、ウィキペディア(Wikipedia)なる無料の百科事典サイトにたどり着くことがある。用語解説が分かり易く、最近は筆者も検索の一助としている。数年前からヒットすることがあったが、気にも留めていなかった。このサイトが今、注目を集めている

▼調べてみると、この百科事典のシステムに驚かされた。編集部となる実在の部屋はなく、専門家が作成しているわけでもない。作業はすべてウェブ上で進められ、誰でもどこからでも自由に文章を書き換えられる。不特定多数の執筆者により、オリジナルの百科事典が構築されていくというシステムなのだ

▼誰かが「公共工事」という項目を作るとしよう。それに自発的な執筆者たちが、手直しをしたり、様式を変えたりと、それぞれの観点で書き加えていく。ウェブ上で「荒し」と言われる人がイタズラ目的で書き込んだり、間違ったことを書いたりすることもあるが、別の人が気づけば直ちに修正する

▼日本語版は、今や25万の記事が掲載され、さらに毎月1万件づつ増えている。多くの人が目にすることで、さらに成長し続けているという好循環が起きているのだ。英科学誌ネイチャーの調査で、英語版は238年の伝統を誇るブリタニカ百科事典と互角だという評価もあるほどだから馬鹿にできない

▼ウェブへの書き込みに関する話題は、ときに何らかの事件の発端になるなど、あまり良い話を聞かない。だがウィキペディアは、共同作業でより良いもの作り上げるという点でウェブの良い例と言えるだろう。成長し続けるウィキペディアに目が離せない。(水・HN)

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