コラム

2013/10/31

アリの世界にも建設業(東京・HM)

アリの世界にも建設業


▼先日、テレビを見ていたらハキリアリというアリを紹介していた。列をなして木に上り、ハサミの

ようなアゴで木の葉を切り取り、巣まで運ぶ。自分の体の倍もある葉を軽々と持っていく。葉っぱの

列は延々100mも続く。何度も往復するため、溝のようなアリの通り道ができる。


▼ハキリアリの面白いところは、巣まで運んだこの葉っぱを食糧にする訳ではない。葉を肥料にして

キノコを栽培するのだ。カビのような見た目だがれっきとしたキノコで、これを食糧とする。農業を

行うアリと表現されることもある。


▼テレビの画面が変わる。ハキリアリの道を落ち葉が塞いでしまい、行列が渋滞してしまった。する

と10数匹のアリがすぐにやってきて、落ち葉をあっというまに取り除いていく。このアリは葉を運ば

ずに、こうした障害物の除去など通り道の保全を専門に行う。アリ界の建設業者だ。


▼アリの世界は独特である。女王アリを頂点に、働きアリ、兵隊アリ、卵の世話をするアリなど役割

分担がきちんとされている。みんな兄弟のはずなのに、体つきも役割りに応じて違う。これがちゃん

と機能して全体が生き抜いていけるので、集団・組織としての完成度は高い。


▼農業まで行うハキリアリのコミュニティに建設業の役割りが自然発生的に生まれるということは、

やはり集団が生きていくために必要不可欠な仕事なのだと感じた。現在、国土交通省は建設業の健全

化のために多くの施策を展開している。なぜ国が一産業にこれだけ力添えをするのか、という疑問も

あるかもしれないが、国が支えるだけの必要性がある産業だとも言えよう。(東京・HM)


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