コラム

2015/02/28

不思議な入札調書 (東京・HM)

不思議な入札調書


▼不思議な入札結果が公表された。案件は横浜湘南道路トンネル工事。2社によるくじ引きになった物件だが、応札価格に差があるのだ。西松JVは239億2350万円、大林JVは239億3000万円。西松JVの方が650万円低い。「総合評価だからかな」と思ったが、価格以外の評価点はまったくの同点。首をひねった


▼聞いてみると、理由は運用ガイドラインにあった。評価値を算出する際、小数点第4位以下は切り捨てる、というルールがある。それで計算すると評価値はどちらも0・764点で並ぶ。だからくじ引きに。釈然としない。確かに200億円超に対しての650万円は、小数点4位以下の差。しかし応札額に差があるのも事実だ


▼くじ引きの方法は発注者によって異なるが、だいたいが会社名を記入するだけといった単純なもの。しかしそのプレッシャーは尋常ではない。特に200億円以上の案件。その重圧はどれほどだったか


▼今回の場合、たまたま低い金額を入れた西松JVが「順当」にくじに勝ったが、逆だったらどうだろうか。たかが650万、されど650万。企業は、そこにしのぎを削っている。細かく積み上げたぎりぎりの金額で勝負しているからこその小差


▼ルールは必要だ。役所の事務担当者がルールに従わざるをえないことも分かる。しかし「ガイドラインにそうあるなら仕方がない」と簡単に飲み込めるものでもない。今回のはそういうケースだ。4月から改正品確法の運用がはじまる。こうした不自然を感じるルールが改善され、誰もが納得できる入札手続きが行われるようになってほしい。(東京・HM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら