コラム

2017/06/02

本気の地方創生を(茨城・KS)

本気の地方創生を


▼東京オリンピックを控え、高度経済成長期でにぎわう1964年の日本。茨城県北部の村から東京の建設現場に出稼ぎに来ている主人公の父親が、初めて洋食店を訪問。「霞が関のビル現場にいます。国立競技場の現場にもいました。自慢になんねえんですけど」と女性店主に話す。店主は「今、いろんなものが建っているけれど、東京がすごいのではなく、お客さんのような(出稼ぎの)皆さんが造ってくれたもの。もっと自慢してください」と返す。この4月から始まったNHK連続テレビ小説「ひよっこ」のワンシーンだ


▼そして53年後の現在。再び東京オリンピックが近づいている。東京は地方によって成り立っていることに変わりはないが、人口減少に高齢化社会と、取り巻く環境は大違いである


▼地方創生が叫ばれてはや2年半。各地方自治体の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が打ち出され、いよいよ本格的に動き出すときであろうか。だが、昨年の東京圏の転入超過数は11万7868人。最大の問題である東京の一極集中は収まる気配がない


▼前地方創生担当大臣の石破茂氏がこのほど、『日本列島創生論』を出版。その中で「国主導の政策のみで地方がよみがえることはない。本気で日本をよみがえらせるためには、新しい動きを地方から起こさなければならない」と主張している


▼しかし、全ての社会活動の根幹となるのは〝人〟である。とりわけ20~30代の活発な消費者がごっそりと首都圏に集中している異常な状態を解消しない限り、何も変わらない気がする。都会の人口を日本全国に分散させる抜本的な策を考える必要がある。(茨城・KS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら