コラム

2017/10/04

干し野菜のような魅力を(茨城・KM)

干し野菜のような魅力を


▼何年かぶりに再開した家庭菜園。前回、種類も数も欲張り過ぎて失敗した反省を踏まえ、今回はミニトマト、ししとう、きゅうりなどを少しずつ。「家庭内で消費できる範囲」をテーマに庭の片隅でこじんまりと開始した。こちらの意図を知ってか知らずか、野菜は盛大に実をつけ続け、うれしい悲鳴


▼そんな時、子どもがもらってきた冊子が目に入った。JA茨城県中央会が発行している「家族で挑戦!JA食と農のおもしろ実験教室」だ。何気なくページをめくると、干し野菜の作り方が書いてあった。これは!とばかりに、残っていたきゅうりで挑戦。薄めにスライスした実を風通しの良い場所で干す。丸1日干しただけでうまみや甘みが濃くなっている。ポリポリとした食感で、生とは違ったおいしさがあった


▼野菜や果物は、水分を失う代わりにおいしさや栄養を閉じ込め、濃縮するようだ。バナナをドライと生で比較すると、水分は5分の1に減る一方、エネルギーやカリウム、カルシウムなどは3~4倍に、カロテンは15倍にもなるという


▼食べ物の水分が10%以下になると、カビや細菌など食べ物を腐らせる微生物の働きがどんどん弱くなる。この性質を利用して、昔の人たちは野菜をカラカラに干して保存し、野菜の少ない冬に食べていた。栄養やうま味も濃縮されるのだから一石二鳥だ


▼人は年齢を重ねると肌が自然と乾燥してくる。みずみずしさや新鮮さは無くても、乾いた分だけ経験や魅力が濃縮されている。そんな中身の詰まった人間になりたいものだ。セミドライのきゅうりをポリポリかじりながら、そんなことを考えた。(茨城・KM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら