コラム

2017/10/17

文字で伝えることの難しさ(茨城・KN)

文字で伝えることの難しさ


▼一歩間違えば絶縁だったと思う。きっかけは一通のメッセージ。気が合い親しくしている友人がいるのだが、時間にルーズで遅刻を繰り返す。そこであえて厳しい言葉をLINEのメッセージで送った。お灸を据えるつもりで、本気で怒ったわけではなかった


▼しかし、友人にこちらの意図は正確に伝わらなかった。互いに感情的になり、攻撃的なメッセージを送り合う。最終的には直接話すことで和解できたが、音信不通になっていてもおかしくなかった。文字で気持ちを伝えることの難しさと怖さをあらためて実感した


▼携帯電話の普及とともに気軽にメッセージでやり取りするという文化が発達して、20年以上が経過した。かつて電話は一世帯に1つしかないのが普通だった。学生時代、想いを寄せる異性の家に電話して、親御さんが出てしまった苦い経験を持つ方も多いのではないか。また「電話を掛ける時間帯はいつが迷惑ではないだろうか」と悩んだことがある人もいるだろう。その点、メッセージを送るのは楽だ。直接伝えたい相手に、時間をそれほど気にせず送信することができる


▼だが、怖さもある。声にはトーンや抑揚が有るが文字には無く、いらぬ誤解を生みやすい。そして、声は消えるが文字は残る。人を傷つけるような失言であっても削除しない限り消えることはない


▼当然、文字で伝える利点も数多く存在する。耳で聞いて理解することが難しい話でも、書き手が工夫を凝らして文章とすることで格段に分かりやすくなる。肝心なのは使い方だ。文字は妙薬にも毒薬にもなり得るということを、記者として肝に銘じておきたい。(茨城・KN)


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