コラム

2017/10/19

理解醸成は私たちの手で(茨城・EM)

理解醸成は私たちの手で


▼橋梁など道路構造物の長寿命化を図る取り組みが全国で進む。2014年の法改正により、道路管理者には5年に1度の定期点検が義務付けられ、予防保全を前提としたメンテナンスを計画的に実施することが求められている


▼「点検→診断→措置→記録→次の点検」というサイクルを構築することで予防保全型の対応を実現し、将来の維持管理費用を縮減させる。限られた予算と人員の下でも、持続可能なメンテナンス体制をつくることが最終目標だ


▼メンテナンスサイクルの構築へ道路管理者はさまざまな取り組みを行っている。点検技術を学ぶ勉強会、スキルを有する自治体の点検に同行し、技術力の向上を図る自治体間連携。そしてこれらの成果による職員による直営点検。また橋梁に特化した維持係を設けて推進しているところもある


▼点検がおおむね計画どおり進む一方、診断結果に基づく措置段階での課題が顕在化してきた。国土交通省がまとめた道路メンテナンス年報によると、14、15年度に点検を行い要早期措置とされた橋梁の修繕着手率は1~2割にとどまる。市町村アンケートでは約6割が「現在の予算規模ではメンテナンスサイクルを回すことができない」と回答している


▼国交省はメンテナンスのセカンドステージとして新技術の導入、撤去などによる管理施設数の削減、適正な予算の確保といった方策を掲げる。道路ストック管理の重要性が再認識される契機となった12年の笹子トンネル天井板落下事故。措置対応を加速させる要因が決して惨事であってはならない。国民理解の醸成は建設産業に携わる私たちの手で行いたい。(茨城・EM)


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