コラム

2018/03/03

当たり前を追走(新潟・HT)

当たり前を追走


▼高齢者の仲間入りをした父が「携帯電話がおかしいから見てくれ」と相談に来た。利用料金や調べ物をする際に便利だからとスマートフォンに替えたのだが、操作しているうちに元に戻せなくなったらしい。これまでも操作方法が分からなくなるたびに「年寄りには分からん」と難しい顔をしながらも自分で操作を繰り返している


▼高齢者にも広がりを見せているスマホは、もはや持っていること、操作できることが当たり前になりつつある。世間の当たり前に付いていけないのは年齢によるものばかりではない


▼先日、飲酒した帰りにバスに乗ったが、支払いの際に小銭がないことに気付き車内で両替した。両替中の後ろにはICカードを手にした他の乗客が列を成し、あきれ顔でこちらをにらむ。普段はバスや電車などの公共交通機関を利用しないためICカードを持っていなかったが、バス車内ではICカード所有が多数派で当たり前。自身が世間の当たり前に対応していないことを実感した


▼建設業ではICT技術が普及しつつあり試行対象・発注件数が増加している。取材したICT活用工事の3次元起工測量の研修会では、熟練技術者が「ようやくパソコンを覚えたと思ったが」とこぼしながらも、メーカー担当者に熱心に質問していた。増加するICT技術に対して「いずれ当たり前になってくる」と話した


▼技術の進歩は著しく、現在の当たり前はいずれ時代遅れとなる。さらに若い者に最新技術を任せようにも、任せる若い者も減っている。世間の当たり前に付いていくためには、歳を重ねても常に学び、追いか掛け続けなければならない。(新潟・HT)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら