コラム

2018/03/14

休廃業・解散今後どうなる(茨城・MK)

休廃業・解散今後どうなる


▼東京商工リサーチ水戸支店の調査によると、2017年の1年間に茨城県内で休廃業・解散した企業は548件だった。そのうち建設業は189件で、前年の245件からは22・8%減少したが、建設業の休廃業・解散は全産業の34・5%を占め、最も多い


▼最近話を聞いた県内の建設業の経営者も「もう高齢だから、会社を畳む。息子は違う仕事をしている」と話した。新聞の購読を勧めた会社の社長も「跡継ぎがいないから会社は自分の代まで」と言っていた。寂しい話だが、現実なのだろう。同支店の調査でも、休廃業・解散をした企業の代表者は60歳代以上が全体の85・8%を占めた


▼一方で、17年の県内倒産は120件を割り込んでいる。休廃業・解散の548件と比べると、倒産の約5倍の企業が休廃業・解散を選択していることになる


▼今後の休廃業・解散の見通しはどうなのか。同支店では不透明としている。理由の一つは、金融庁の動向だ。金融庁では金融機関の仲介機能で転廃業支援先数を設定し、各金融機関の取り組みを公開する方針で、公開された場合、金融機関は自社の評価に直結するため転廃業支援への取り組みを加速すると見らる。そうなると休廃業・解散の件数を押し上げる可能性がある


▼一方で、政府が目標とする名目GDP600兆円の達成には、生産性の高い企業や成長産業への雇用の移動が不可欠といえる。働き手となる15歳から64歳までの生産年齢の減少が見込まれる日本では「休廃業・解散が労働力の流動化を促す視点も避けられない」と同支店では指摘する。休廃業・解散の今後を見通すのは難しい。(茨城・MK)


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