コラム

2018/04/04

宛先がある手紙を(埼玉・YM)

宛先がある手紙を


▼「いつからだろう。宛先のないメールを打つようになったのは」。新海誠監督が手掛けた映画、秒速5センチメートルの作中に、この台詞(せりふ)が出てくる。主人公は小学生の頃に転校してしまった好きな子と文通を続けていたが途絶えてしまう。高校生になった主人公は、携帯電話のメール機能で送る宛てのない文章を打つことが癖になっていた


▼遠い人とコミュニケーションをとる場合、手紙や電話などが連絡手段になっているが、近年はインターネットの普及により電子メールや携帯電話アプリなどを使用することが増えてきている。自分の好きなタイミングで用件を伝えたり、返信できることで相手が見えなくても気軽に連絡が取れる時代になってきている


▼未来郵便というタイムカプセルのようなサービスがある。例えば、未来の自分や家族に宛てた郵便物を預かってくれて、10~20年後に届く仕組みになっている。送り主も宛先も自分の郵便物が、忘れた頃に届くというのが面白くもある


▼記者は、読者が知らなかった情報、読者が既に知っている情報より深い情報を探して日々取材する。そして、分かりやすく伝えるため工夫を凝らしている。情報ツールはさまざまだが、人の思いや情報を伝える道具という点では同じだろう。いかに読者を意識した情報を入手して、紙面に載せることができるかが大事だと思う


▼情報ツールの価値は、人の心を動かせた時に生まれる。誰に向けた記事なのか不明なら単なる文字の羅列になるし、郵便物の宛先住所が不明なら自分の所に返送されてくる。自分宛てに来るならば、読者からの反響か未来郵便がいい。(埼玉・YM)


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