コラム

2018/04/17

約束の場所を求めて(埼玉・YM)

約束の場所を求めて


▼新天地に来て間もないと、誰かと会うだけでも苦労することがある。新宿で待ち合わせの約束をしても、大まかに「駅前で」と言うだけでは会うことはできないからだ。新宿駅には無数の出口があり、慣れない人からすると文字通り大迷宮だろう。結局、駅のどこで待ち合わせするか、さらに分かりやすい目印を調整することになる


▼「話を聞かない男、地図が読めない女」というベストセラー書籍がある。内容は割愛するがタイトルだけでも言い得て妙だ。地図で細かく説明するより、建物のイメージや大体の方向を言うと伝わる時がある。場所や建物は、いかに想像できるかが重要になる


▼大勢または知らない人と待ち合わせをするなら、有名な場所を選ぶのが一般的だろう。その場所には必ず目印になる目立つ建物がある。しかし、新宿駅のようにお互いの理解がずれていると出会うことができない場合もある。つまり、建物は本来の役割に加えて人と人をつなぐランドマークになるが、ならないケースもある


▼相手と仲が良い場合はどうだろうか。親睦が深まるにつれて、お互いがイメージできる場所が増えていく。そして、他の人にとっては何でもない建物が特別なものになってくる。建物は人々の心を寄せる媒体として機能し始める


▼場所や建物は、心を豊かにしてくれる。それ自体が思い出のアルバムとして成り立つからだ。普段は忘れていても、ふとした瞬間に思い出して行きたくなることがあるように。家族や友達など親しい人と共有しているランドマークを大切にしながら、心を通わせることができる約束の場所を求めていきたい。(埼玉・YM)


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