コラム

2018/04/21

出会いはずっと前に(山梨・HK)

出会いはずっと前に


▼彼岸の声を聞いたころに訪れた暦を勘違いするような暖かさが、標高2000m級の山々が周囲を巡る盆地にも季節の変わり目を教えてくれた。春である。それは心弾む新しい出会いを告げてくれるとともに、ひと時涙に暮れる別れの季節でもある


▼去る3月16日は、20年以上にわたり新宿と信州・松本を結ぶレールの上で、帰省する人々の足となり、自然に抱かれる旅の思い出を紡いでくれた「スーパーあずさ」E351系車両がお役御免となる日であった。新型のE351系車両は、すでに昨年の12月からお目見えしており、ダイヤ改正に伴い全ての旧型が新型に入れ替わることとなった


▼運行最終日の最終列車に奇(く)しくも乗り合わせた偶然は、古い付き合いのご縁なのか。鉄道ファンには羨(うらや)ましく思われるかもしれないが、そこは蛇の道は蛇。鉄道好きの皆さんは乗車券なり駅入場券をすでに入手済みで、カメラ片手にプラットホームや列車の中で待ち構えていた。走行中の車両を早足で前後に移動するファンは後を絶たず、ホームでは、黒山の人だかりからフラッシュの雨が車両へ向かって降り注がれていた


▼今更ながらにコアなファンの熱い思いに驚くとともに感心することしきりである。「好きこそ物の上手なれ」の諺(ことわざ)のように、のめり込んで一生懸命取り組めば、工夫し学習する中でおのずと上達するのは必然


▼この春に建設業界へ就職した若者は決して少なくない。両者の出会いはずっと以前にあり、業界でもその出会いの機会を演出している。そこから好きになり、夢中になり、努力を重ね熟練者が生まれ、業界と都市基盤を支えていく。(山梨・HK)


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