コラム

2018/06/12

水辺空間から過去を知る(山梨・SA)

水辺空間から過去を知る


▼「今日も真夏日になりました」とニュースで耳にする季節になった。野外で働く人は大抵、晴天で清々しい日々が続いてくれればと願うが、農業に従事している人にとっては梅雨は絶対に必要だ。近年は不安定な天候により突発的な降雨が襲う厄介な時期。降雨量の増加による洪水被害や土砂崩れなどの自然災害の発生が懸念される


▼とある休日、涼を求めて北杜市白州町へ車を走らせた。甲府盆地を少し離れると山々の緑が美しく映え、川を流れる水が無色透明できれいな場所が多い。長年愛飲しているミネラルウォーターも採水地は白州町。大地からの恵みに感謝するばかりだ


▼「道の駅はくしゅう」の近くに名水公園が広がる。内部は温泉施設やマス釣り体験をはじめ豊富な自然による森林浴が楽しめて、多くの子どもや家族でにぎわいを見せていた。森を進むと、尾白川下流ダム(堰堤)がそびえ建つ


▼ダム周辺には展望台やプール、滑り台などを備えた水辺空間として楽しめる工夫が施されている。ダムからの巨大な滝を背に水と触れ合う子どもたちの姿も見られた。ダム脇の案内板には、1959年8月に台ヶ原地区の13戸が流出した土砂災害が発生し二度とこのような災害が起こらないことを願いダムを築造したと記してある


▼山梨県では安全安心な県土づくりのため、河川の浚渫や道路の補修を進め強化を図っている。巨大な構造物を介して水と親しんでいた子どもたちもいずれ過去の出来事や巨大な滝の意味を知る時が来るだろう。かけがえのない命を守るため、身近な公園施設から河川整備の重要性をあらためて再確認した。(山梨・SA)


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