コラム

2018/09/04

網場から考える川のこと(新潟・CY)

網場(あば)から考える川のこと


▼ゆく川の流れは絶えずして、流れて来るのはコンビニ袋、大きなスイカ。新潟市の一級河川西川。学校帰りに橋から眺めては笑ったものだ


▼春先、川にフロートを連ねたコースロープ状のものが渡された。合点がいったのは数日後。流れ来るゴミをフロートが捕らえていた。網場と呼び、この地域で古くから利用されてきた。ゴミが堆積しやすい緩やかな流れ、自然堤防。農業用水の取水口の詰まりも軽減する


▼小さな労力で効果絶大。が、県担当者の声は明るいだけではない。ボートを出しクレーンで引き上げるゴミの回収費が重くのしかかる。最も多いのはプラスチック類。見学した児童たちはその悪臭に驚きを隠さなかった


▼そんな児童たちが年に一回集うのが「西川流域こどもサミット」。2009年から毎年開かれ、昨年は5校の3、4年生が参加した。調べたことを発表し、異なる学校・学年が混ざってグループに分かれ、意見を交わす。西川の水も巡り巡って飲料水となる。周辺河川と比較しても水質は悪く、原因の8割が生活排水


▼一人一人が自分たちのことと捉えるには。自分たちにできることは。初回の資料をめくるだけでも熱気が伝わってくる。当時の和田裕生新潟市副市長は「大切なのは自分の目で見て人に伝えること。『捨てる人の気持ちを考えてみる』という話には驚いた。すごいことに気が付いた」。また「長く川を守る活動をしてきたが大人ばかりを相手にしていた。反省している。子どもたちに考えてもらうことは大きな意味がある。10年続けてほしい」と大熊孝新潟大学名誉教授。今年はその10回目。ぜひ足を運びたい。(新潟・CY)


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