コラム

2018/09/07

人の振り見て我が振りは(埼玉・KK)

人の振り見て我が振りは


▼「社会へ出たら理不尽なことなんて当たり前」。誰しも幼少期から親や学校の先生に聞かされてきたことだろう。そしていざ社会人として働いていると「本当にそのとおりだ」と実感することも一度や二度ではないはずだ


▼あれやこれやと変わる上司の指示に惑わされ、クライアントの要望どおりに取り組んだ仕事でも「気が変わったから」と言われてやり直し…。どんな業界や組織にいても、大なり小なり経験することがあるのではないだろうか


▼昨今、立場や権力を振りかざした理不尽な指示が次々と世間をにぎわしている。日大アメフット部の悪質タックル騒動やアマチュアボクシング連盟による不正疑惑。東京医科大の入試では女子受験生の点数が一律に減点されていたことが発覚した。表向きには業界、組織、人材を発展・成長させるためだったという認識を示しているところが共通点と言える


▼建設業界においては、談合などの不正が話題になると必要悪論が湧き上がることもある。どんな世界にも発展や成長に少々の悪事は付き物だと考える向きは多い。だが限度はある。結局、利権を手にするのは時の権力者であり、不利益を被るのは現場で奮闘する人々であることがほとんどだ


▼本来的に良いことではないと分かっていながらも、理不尽は社会の当たり前であり続ける。皆がそう刷り込まれてきたのだから、覆すのは至難の業と言わざるを得ない。ならばせめて、アマチュアボクシングや日大アメフット部の選手、東京医科大の女子受験生らに抱いた同情の念は自らを省みるきっかけにしたい。あなたのその振る舞い、大丈夫ですか。(埼玉・KK)


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