コラム

2018/10/13

利用者目線が肝要(山梨・HK)

利用者目線が肝要


▼日本二百名山に数えられる櫛形(くしがた)山は甲府盆地の南西に位置し、市街地にも近い。日帰り登山を考えると手頃な山とも言える。裾野を分け合う山梨県南アルプス市、富士川町などのウェブサイトによると富士山や白峰三山などの眺望に優れ、山の草花や紅葉も楽しめるとある


▼頂上へ向かう登山道もいくつか紹介されているが、それとは別に5年前に新しく頂上の西側を巡るトレッキングコースが開設した。起点となる池の茶屋駐車場から富士山に次ぐ日本第2峰となる北岳の頂を仰ぎ見ることができる展望台までなだらかなスロープが整備されており、車椅子でも壮大な眺めを堪能することができる。体が不自由で車椅子を使っている人を含む総勢30人がこの地を訪れ、大自然を楽しんだとの報告もあった


▼息をのむ景観を健常者に限ることなく皆に味わってもらおうとする素晴らしい試みで、実際に作業に当たられた方々には頭が下がる。しかしながら時の流れは無慈悲なもので、5年の歳月は施設のあちらこちらに傷みを生じさせている


▼社会資本整備も維持管理の時代に移ったと言われている。厳しい財政、人口減少とさまざまな壁に対して即効性のある妙手はない。まずは使う者の立場に立って、何が必要なのかを見極め、より多くの人々の役に立つ施設であるべき


▼「○○ファースト」。言うは易く行うは難し。障害を持つ人達と向き合うには同じ目の高さで語らうのが必要と考える。実際に車椅子に乗り、あるいは目を閉じ耳を塞ぎながら街に出てみて初めて何が障害となりストレスとなるのかが分かる。そして何が必要かということも。(山梨・HK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら