コラム

2018/10/18

当たり前が無くなると(群馬・YY)

当たり前が無くなると


▼群馬に本社を置くコンビニエンスストアのセーブオンが8月末をもって全店閉店した。運営会社がローソンとフランチャイズ契約を結んだためで、多くの店舗がローソンへと衣替えする。1983年の1号店開店以来、群馬を中心に10県に進出、店舗数は600以上を数えた


▼同店の特色と言えば低価格アイス。メジャーブランドの商品でありながら税込み48円という安さで、64円のものを含めると20種類ほどを販売していた。また群馬のソウルフードである焼きまんじゅうを取り扱う店舗では、挽きたてコーヒーと焼きまんじゅうという異色のコンビが楽しめた。閉店を惜しむ声が各方面から上がっており、来店目的で他県から訪れた人もいると聞く


▼実家の最寄りコンビニだったこともあり、なじみ深かった。毎晩明かりが消えた店舗の前を通るたび、街を照らしていた紅白の看板が恋しくなる。あるのが当たり前の光景だったため、なおさらである


▼9月に発生した北海道胆振東部地震では小売店が多数休業となる中、北海道の地場コンビニのセイコーマートは一部店舗を除き営業を継続した。商品の提供だけではなく、日常的に使うお店が開いていることは、人々に安心感を与えただろう


▼さまざまな理由が絡み合い、小売業は大手への集約が進む。しかし災害時における物資供給の面から地域の風土を熟知したローカルチェーンに焦点が当てられてもよいかもしれない。セーブオンの今後が気になるところだが、ローソンへの転換後、焼きまんじゅうの販売を1店舗ながら継続するそうだ。近所の店舗にも再び灯がともることを楽しみにしている。(群馬・YY)


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