コラム

2019/06/11

存続へのアプローチ(長野・EM)

存続へのアプローチ


▼慢性的な赤字にあえぐJR北海道が23年ぶりの運賃値上げを発表した。ことし10月以降、初乗り運賃は現行の170円から200円に引き上げられる。この発表の数日前には、ゴールデンウイークの北海道新幹線の利用客が前年比45%増の120万人と過去最高を記録したことを伝えていた


▼道内人口の減少や高規格幹線道路整備の影響を受けて収入が伸び悩む中、安全基準を満たすため年間400億円の営業赤字が発生。さらに将来への不安から、自己都合退職者もここ3年連続で100人を超える。住民のために不可欠な存在だが、厳しい経営環境にある状況は地域建設企業にも重なる


▼さて相互扶助の精神に基づき共同事業で建設業を支える全国建設業協同組合連合会が昨年実施した学生による工事現場の仮囲いデザインアイデアコンテスト。この優秀賞作品が、このほど長野県内の現場で採用された


▼動物の等身大シルエットが特徴的なデザインで、審査委員長を務めた日本建築学会の古谷誠章会長は「単に現場と外の世界をつなぐだけでなく、中で何をやっているのだろうと感心を引き、気が付くと現場の中の対象を見ている。しかも子どもからお年寄り、さらに言えば言葉の分からない方々も含め直接的に働き掛ける訴求力を持っている」と評価した


▼人材獲得は他産業も含めた競争であり、業界全体の地位向上が不可欠。「若々しい学生のアイデアは面白いが、出しただけでは社会にインパクトは伝わらない。それを真剣にくみ上げようとする大人がいて初めて成立する」。古谷氏は建設業を魅せる新たなアプローチを、作品と共にたたえた。(長野・EM)


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