コラム

2019/06/13

高力ボルトはお米のよう(埼玉・YM)

高力ボルトはお米のよう


▼高力ボルトが危機的に不足している。現在1年待ちの状況で、全国的に鉄骨造の現場が大きく揺れている。埼玉県内の公共工事も対岸の火事ではない。高力ボルト不足による工期延長または発注延期がついに発生し始めたからだ


▼高力ボルトは鉄骨造の要と言える。ある鉄骨業者の話によると「ドラッグストアのような小さな店舗物件でも数千個単位で必要」という。中高層ビルやタワーマンションのような物件になると、どれほどの数が使われるのか想像もつかない。一つ一つは微々たるものでも、必要不可欠な建設資材だ


▼国の統計によると鉄骨造は構造物の約4割を占めている。まさに業界の主力だ。そして高力ボルトがその屋台骨を支えていると言っても過言ではないだろう。高力ボルトを使用しない鉄骨造は存在しない。これは建設業界の危機に直結する問題だと強く認識するべきだ


▼話は少し変わり、日本人の主食と言えばお米だ。一粒一粒はミリ単位だが、お茶碗一杯には約3200粒が入っている。一食食べれば、大いにお腹を満たしてくれる力を持つ。日本の外食産業はお米が無ければ成り立たない。またお米がおいしい定食屋に人は集まる。お米は外食業界を支えている縁の下の力持ちと言える


▼高力ボルトとお米は似ている。普段は重要性を忘れ、あって当たり前と考えがちだが、不足時に大切さを思い知る。歴史上もお米が少なくなると、米騒動が幾度となく起きた。一方で高力ボルト不足は初めての出来事だ。現場では既に悲痛な声が聞こえている。社会に影響が出るのも時間の問題かもしれない。社会が対応するなら今しかない。(埼玉・YM)


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