コラム

2019/08/08

リンスだったか(埼玉・MK)

リンスだったか


▼表題はお笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹さんの俳句だ。おや、と思われるかもしれない。確かに俳句は季語を含めて五・七・五の17文字が定型だ。しかしリンスの句はたったの7文字。さて、混乱していただけただろうか


▼俳句や短歌には決まった文字数で詠む定型のほかに、自由律俳句(または短歌)と呼ばれる種類がある。国語教科書の常連で、自由律俳句の名手といえば、種田山頭火(1882~1940年)。一風変わった名前を記憶している方は少なくないはずだ。代表作は「分け入っても分け入っても青い山」。定型に縛られない、俳句の懐の深さを世に知らしめた偉人といえる


▼2019年。建設業界に「自由律」が持ち込まれようとしている。情報技術革新に続くICT施工の拡大だ。衛星の活用は、効率的で高精度な測量につながる。ICT建機の開発も盛んだ。国内シェアの上位を占める大手メーカーが続々と参入している


▼こうした状況を受けた自治体も、ICT活用工事という形で対応に乗り出した。埼玉県内の案件を例に挙げると、ICT土工79件、ICT浚渫工2件を予定している。そのうち県発注分は54件。適用工種の拡大により、この数は今後も増える見通しだ。またICT活用の実績がない企業の受け皿として、ICT建機やドローン操縦の体験ができる講習会などを開催し、門戸の解放をアピールしている


▼建設業界の自由律はICT技術に限らない。女性技術者・技能者の育成や外国人労働者の採用が拡大することも未知の領域。はたして建設業界は、懐の深さを示すことができるだろうか。(埼玉・MK)


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