コラム

2019/08/22

誰かにとっての優良表彰(新潟・HT)

誰かにとっての優良表彰


▼ことしも各地で国土交通事業関係功労表彰式が執り行われ、優良工事や優良委託業務が表彰された。優秀な成果で完了した受賞工事や業務等は、その年度を代表する仕事の証し。表彰式の出席者からは、少しの緊張感と誇らしい表情が見え、式典後には満面の笑みがこぼれている


▼毎年この時期になると過去に取材した事務所長表彰での謝辞を思い出す。通常の謝辞は「発注御当局の御指導、御鞭撻(べんたつ)のたまもの」「表彰の栄誉は、この上ない喜び」や「今後も技術の研さんに努める」「社会資本整備を通じて地域の発展に貢献する」などの言葉をよく耳にする。主に優良工事または業務として選定、評価されたことへ発注者側に感謝を述べることが一般的だ


▼過去に取材した表彰式で優良工事の受賞者を代表して謝辞に立った社長は、最初に「いま私がここに立っているのは、現場を担当した社員のおかげである」とし「優良工事受賞企業の代表として立たせてくれたことに感謝したい」と自社の社員に対して謝辞を述べた。たとえ身内であっても自分がした努力や苦労、創意工夫が評価されることには喜びがあるだろう


▼優良工事等は評価が形になったものである。公共事業は社会や人の役に立つものだが、普通に生活する中で作った人のことまで考えることはあまりない。故に実際に仕事の成果を直接褒められる機会は少ない


▼公共工事の本来の価値は、供用を開始した後にどう使われるか、何を守っているか、ではないか。ことしは惜しくも表彰の栄誉からこぼれた仕事も、その成果を感謝する誰かにとっては優良工事、優良委託業務なのかもしれない。(新潟・HT)


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