コラム

2019/10/02

「命大事に」が合言葉(埼玉・YM)

「命大事に」が合言葉


▼9月3日に「過労死等防止対策白書」の概要が明らかになった。それによると「建設業では2015年までの約5年間でうつ病などの精神疾患があったと認定された現場監督のうち、約半数の30人が未遂を含む自殺だった」としている。過労死・過労自殺の深刻さが改めてうかがえる結果といえそうだ


▼漫画「賭博黙示録カイジ」で、ある人物が「金は命より重い」と述べた。「人は金を得るために、命を費やして働くから」だという。もっともらしい言葉だが、疑問符が付く。「金を得る行為」は生活や趣味などに使うための単なる「手段」であって、「目的」ではない。まして「手段」のために命を失ってしまうなど言語道断だ


▼さいたま市は4月から、全土木工事を受注者希望型による週休2日制の適用工事とした。実施状況に応じて加点評価する仕組みを試行している。建設業界の担い手確保のため、休日確保、社会保険加入などの労働環境の整備は、一刻の猶予もない状況だろう


▼一方で休日があっても、給料が従来より減ってしまえば生活がままならない。結果、生活費を稼ぐために働かねばならない。週休2日を導入するには、適正利益を確保できる環境整備が必要となる。また制度全体が同時に変わらなければ、効果が十分に発揮されない


▼新・担い手3法が6月に成立した。改正公共工事品確法は公布と同日に施行。改正建設業法と改正入契法は一部を除き来年10月1日に施行される。新3K(休日、給与、希望)を掲げる建設業界は過労死、過労自殺ゼロを目指し「命大事に」を合言葉にした業界であってほしいと思う。(埼玉・YM)


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