コラム

2019/12/04

世の中、橋は数あれど(茨城・KS)

世の中、橋は数あれど


▼1502年、オスマン帝国の皇帝が、イスタンブールと近隣都市を結ぶ橋の建設を望み、かの芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが設計案を送ったという。当時としては世界最長の約400mで、石積みのアーチ橋だったが、前衛的過ぎて却下された


▼しかしこのほどアメリカのマサチューセッツ工科大学が3Dプリンターを使って500分の1の模型を作り、ダ・ヴィンチのプランが当時でも実現可能であったということを証明した。それだけではなく安定性を高めるために橋台を広げ、当時からその地域で多かった地震に耐えられるように考慮されており、合理性に満ちた構造であることも分かったという


▼大手ゼネコンに入社した5人の若者たちを描いたテレビドラマ「同期のサクラ」が面白い。第1話では、新入社員研修の一環で「未来に残したい建造物」の模型製作の課題が出される。土木、都市開発、設計、営業、広報と異なる部署を志望するメンバーがそれぞれの才能を生かし、離島と本土をつなぐ橋のモデル作りに奮闘する


▼その橋は主人公サクラの提案。かつて大病の母親を本土の病院に送ろうと父親が台風時に船を出し、二人とも帰らぬ人に。二度と悲劇が繰り返されないよう、地元への橋の架設を夢見て土木部を志望していたが、かなわなかった。「私には夢があります。ふるさとの島に橋を架けることです。一生信じ合える仲間を作ることです。その仲間とたくさんの人を幸せにする建物を作ることです」とめげずに前を向く


▼世の中、予想だにしないことが起きる。しかし常に弊紙は、発注者と受注者を結ぶ強靱な架け橋でありたい。(茨城・KS)


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