コラム

2020/01/08

無価値なモノなんてない(埼玉・YM)

無価値なモノなんてない


▼秋が短くなったような気がする。涼しい風を感じながら一杯飲む機会が減った。同様に春も短くなった。冬の寒さが尾を引いたまま、急に夏になる。季節の移ろいが、気温や外の変化では分かりにくくなっている。秋になるとコンビニエンスストアにおでんが並ぶように、店内の内装や商品の変化で四季を感じる始末だ。何とも味気ない


▼秋と春の気温はほぼ同じだ。にも関わらず、おでんは秋の方が売れる。コンビニ業界は「これから寒くなる」といった消費者の深層心理を巧みに利用し、温かいおでん販売を展開している。営業攻勢を仕掛ける上で、市場調査と消費者心理の研究は最優先事項に違いない


▼2018年に17歳学生が、どんなレシートも10円で買い取る「レシート買い取りアプリ」をリリースした。アプリを見た瞬間、その天才的な発想に思わず感嘆の声が出た。レシートには消費者の生データが詰まっており、どんな調査よりもリアルだ。レシートの購買情報を分析し、ビッグデータとして活用すれば、買取価格の数万倍以上の価値が付く


▼大勢の人がごみと思っていたレシートに価値を見出した着眼点は、晴天の霹靂(せいてんのへきれき)だった。人が無価値と思っているものに価値を見出すのは、ビジネスの神髄だろう。競合相手がいない分、市場は独占状態。先行者利益もできる


▼ビジネスチャンスは、あらゆる所にあると思い知らされた。幅広い学びを続け、先入観や既成概念に捉われない発想・着眼点を身に付ける必要がある。水は溜まる(たまる)と淀むように、人も現状維持に固執すると腐ってしまう。新陳代謝(しんちんたいしゃ)を常に図る努力が欠かせない。(埼玉・YM)


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