コラム

2020/01/09

古くて新しいもの(群馬・YT)

古くて新しいもの


▼温故知新。昔の技術や事柄を深く知ることで、現在に応用できる新しい物事を知ることができるという有名な故事だ。今から2500年以上前に生まれた孔子の言葉をまとめた論語の中にあり、昔から「故きを温ねて(ふるきをたずねて)新しきを知る」ことの大切さが認知されているということだろう


▼似た言葉に車輪の再発明というものがある。IT業界でよく使われており、先行事例を知らずに技術を開発したが、実はもっと分かりやすく使いやすいものが普及していたというのを皮肉を込めて表している。先行技術を学ばず、感性やひらめきだけでは真に優れたものは生み出せないということ


▼ある意味、車輪の再発明という言葉自体が温故知新を言い換え、再発明したともいえるのかもしれない。新人教育などの場面では、技術の成り立ちや意味、変遷を知るための教材として行うことがあるとのこと。思い返してみると学校で習った理科の実験など、手段を再現して学ぶというのは理解を深めるのに役立つ


▼建設業界ではICT化という技術の大きな転換点を迎えている。導入に対する現場の課題として人間の技術力低下が指摘されることが多い。全ての現場をICT建機に置き換えることが難しく、人間の持つ技術力が欠かせないからこその懸念と言える


▼担い手不足という喫緊の課題に対してICT技術の普及が解決につながるのは確か。しかし、ICT技術の習得にのみ特化してしまい、前提となる知識、体験の学習をおろそかにしてしまえば人間の技術力低下は免れない。新技術を導入する今だからこそ、新旧の技術習得を後押しする仕組みが必要だ。(群馬・YT)


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