コラム

2020/01/23

白くなった紙どこに行く(埼玉・YM)

白くなった紙どこに行く


▼これも年なのか、最近白髪が目立ってきた。気分は若者でも体は確実にオッサン化しているようだ。とはいえ世間一般には30~40代は働き盛り。まだ老いを感じたくないものだ。星がきれいな冬空のもと「気持ちだけは、いつまでも若者でいよう」とひそかに思った


▼2019年は埼玉県内の広域ごみ処理施設建設事業が慌ただしかった。9市町村で構成する埼玉中部資源循環組合が、計画を断念して解散することを決めた。3市が協力する鴻巣行田北本環境資源組合では、建設予定地問題が再燃。最終的に「白紙」に戻すことになった。この瞬間、約6年に及ぶ協議時間と準備費用約5億円が水泡に帰した


▼同事業は既存施設の老朽化対策とごみ処理効率化を図るもの。工事費は数百億円に上り、事業者からの注目が高い。一方で事務手続きが多く、準備に長期間を要する。また、いわゆる迷惑施設に当たり、地元住民からの反対も根強い


▼事業推進の名目となっている既存施設の老朽化。解散する組合管内にある4施設は、築35~43年が経過している。ごみ処理は市民生活にとって重要な問題だ。施設も大規模改修時期を過ぎており対策を講じる必要がある。しかし「仮に新施設を建てても、40年後にまた建て替え計画が発生するのではないか」という課題が出そうだ


▼スクラップ&ビルドをいつまで繰り返すのだろうか。これではストック型社会、持続可能なまちづくりは永遠にかなわないだろう。築30~40年は人間で言えば病気もするし白髪も生える。しかしまだ働き盛りの時期に当たる。白紙になったごみ処理施設計画の行く末を見届けたい。(埼玉・YM)


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