コラム

2020/08/29

瑕疵(かし)があるのは(埼玉・YF)

瑕疵(かし)があるのは


▼映画館で上映前の予告を見ていると、夏ということもあって、ホラー映画のCMが見に映った。その映画は殺人や自殺事件が起きてしまった不動産、いわゆる事故物件をテーマとしたもの。帰宅後に自然と、一緒に見た妻と事故物件についての話題になった


▼「怖い。絶対に住みたくない」という妻。初めて知ったが今住んでいる賃貸住宅も、その類いではないかと周到に調べていたのだという。一方の自分はというと「シミや臭いが残っていなければ、それほど気にすることはないのではないか」と考える。「恐れるべきものは他にあるでしょーが」と強く主張したい。そう、アレだ


▼借主や買主に心理的な抵抗を生じさせる物件は「心理的瑕疵物件」呼ばれている。2020年4月の民法改正によって、このことについて不動産を提供する者の説明責任がより重くなった。事前の説明を重要視されるのは、瑕疵かどうかが利用者の主観によるところが大きいからだろう。事件性が無ければいいのか。病死や自然死なら問題は無いのか。判断基準は人による


▼さらに判断が難しいのが環境的瑕疵というもの。騒音トラブルや振動・悪臭など環境要因による不具合などが挙げられる。自分の場合はまさに、これが当てはまるのだ


▼不動産会社の方からは、そのことについて事前に聞いていたし、追加料金を払って前処理も頼んだ。なのに、その黒い光沢を帯びた生物は、季節を問わず家の至るところから姿を現すのだ。多様な生物との共存として許容しなければならないのか。それとも年明けぐらいにしかまともに掃除しない、自分に瑕疵があるのか。(埼玉・YF)


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