コラム

2020/10/17

ある種の温故知新(埼玉・IK)

ある種の温故知新


▼今夏の個人的な思い出といえば炎天下に着用するマスクのダイエット効果くらい。関東圏はすっかり過ごしやすい気候となり、酷暑の日々が既に懐かしくもある。そんな旧聞に属する話ではあるが、興味深い光景を一つ目の当たりにしたので紹介したい


▼取材の帰り、駅のホームでたまたますれ違った女性。一目ぼれ、などと浮いたエピソードの暴露なんかではもちろんなく、目を引いたのは女性の服装。厚手の長袖姿。よく見ると、工事現場ではなじみとなった、バッテリーファン式の空調服をその女性がおしゃれに着こなしていたのだ


▼独特な格好に、周囲の人たちも少なからず注目していたと思う。空調服をトップスに、ボトムにはタイトめなパンツとスニーカー、さらにバックパックを背負ったスタイル。ファンの風で膨らんだ空調服はダウンジャケットのようにも見え、ファッションの形としては違和感ない。一瞬驚いた直後、さらに驚かされた経験はあれが初めてではなかったろうか


▼人の心をつかむ、引き付けるのは簡単ではない。建設業界も自社PRのブランディングで試行錯誤する企業は増えてきている。現場では作業服を格好よくあつらえたり、重機をデコレートしたり、仮囲いをキャンバスに見立てたりと工夫はさまざま。「あれもアイデアの一つかな」。道中、女性の着眼点にしばらく感心してしまった


▼影響力の時代ともいわれる昨今、思わぬ発想の組み合わせが財産に化ける可能性はある。凡人にはさっぱりだが、少なくとも考え続ける姿勢は大切か。まずは「当たり前を疑ってみる」。使い古された文句が改めて耳に響いた。(埼玉・IK)

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