コラム

2020/10/24

選択は納得した上で(長野・HK)

選択は納得した上で


▼「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」。シェィクスピアの四大悲劇の一つであるハムレットで語られる名セリフである。翻訳によってさまざまな言葉に置き換えられているが、運命の岐路に立ち究極の選択を迫られていることに変わりはない


▼新型コロナの騒動が世界を駆け巡ってから随分日が経つような気もするが、いまだに目に見えぬウイルスはわれわれを不安に陥れている。人々の暮らしぶりは一変して、これまでの常識は通用しない。当初は「アフターコロナ」などと早々の終焉(しゅうえん)を想定していたが、いつの間にか「ウィズコロナ」に代わり、新型ウイルスは生活の一部に組み込まれてしまった感がある


▼新たな脅威に対して人類も丸腰同然であったが、待ち望まれていたワクチンが現実味を帯びてきた。数々の大手製薬会社が開発に取り組み、治験の段階まで駒を進めた。費用は国が全額負担し、早ければ年明けにも接種が始まるよう伝えられている


▼しかし、一方では万一の場合も製薬会社側には補償を求めず、治験中断のニュースも流れている。アメリカでは半分の人が接種を拒否するとのアンケート結果も。大げさではなく命に関わる問題である。世界の人々が大きな分かれ道に立たされていると言えるのでは


▼ハムレットは王になれなかった人生を「この世の間接が外れてしまった」と嘆いたというが、現在の世界のありさまにも似ている。脱臼の整復には2~3週間の固定が必要だとか。心が急く(せく)のは不安に駆られている証し。皆が納得できるまで十二分な治験を繰り返し、副作用などのマイナス要素を払拭(ふっしょく)する時間が必要だ。(長野・HK)


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