コラム

2021/06/04

小宇宙との出会い(埼玉・IK)

小宇宙との出会い


▼長引くマスク着用生活のおかげで、個人的に少々意外な事態となっている。まず、会社の同僚たちの素顔を忘れてしまった…。中途入社の2年目。そういえば出会った当初から、事務所の方々はみなマスク姿である。時折素顔を垣間見る機会はあっても、完全に記憶に刻まれていたとは言い難い


▼実際には「忘れてしまった」というのは、やや言い過ぎ。マスクで顔の半分が覆われた印象と、こちらが思い浮かべる顔全体のイメージに、どうしてもギャップが生じてしまう、といった具合。人の記憶力とは、かくもあいまいなものか。素顔を向き合わせられない日々は、やはり寂しい限りだ


▼新年度に入り、はや2カ月。この間、新任の自治体幹部などにもインタビューした。当然ながらマスク着用中と着脱後のギャップは、このときも起こり得る。初対面だと印象の差がなおさらなことも。せめて、無意識に失礼な反応だけは見せないよう、取材中はこれまでよりも、脱力を心掛けるようになっている


▼しかし、これがなかなか難しい。意識しすぎると、かえって体のどこかに力が入る。そうなると悔しくて、何かこつはないかと、休日に動画投稿サイトを使い、脱力の極意を探すなんてことも。「重力に従う。なるほど」。いつの間にか、お薦めの関連動画で現れた武術や格闘家のチャンネルに行き着き、結構な視聴時間を費やしている


▼そのかいあってのことか、肩凝りは少し緩くなった気がするから意外だ。当初の狙いとは異なるも、これはこれで満足。不自由なマスクが、身体開発の契機になるとは。未知の小宇宙は、どこに広がっているか分からない。(埼玉・IK)

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