伸び率トップは前橋(普通建設費)
学校耐震化が中心
県内12市の新年度予算案


 県内12市の新年度予算案がすべて出揃った。景気悪化に伴う税収減を背景に各市とも厳しい予算編成を強いられている中、公共事業費が大半を占める普通建設事業費を見ると、4市を除く8市が大幅減となった。各市とも、継続事業の完了や大型工事の終了による普通建設事業費減が多いが、その中でみどり市の石原条市長は、予算内示の記者発表で「今後は、身の丈に合った財政規模を」と発言。各市とも景気悪化に伴う税収減などから予算を『ハードからソフト重視へ』の転換がみられる。こうした中、前橋市の普通建設事業費は旧富士見村との合併後の実質的な伸び率が25・6%増で、12市の中でも飛び抜けた数値となった。高木政夫市長は「市内経済の元気につながってほしい」と期待。その一方、二桁減は5市に及んだ。
 
 12市の一般会計を見ると、子ども手当支給事業費の増額が共通しているものの、いずれも市税減が見込まれるため、臨財債(臨時財政対策債)の増発や財政調整基金からの繰り入れで対応する市が多い。
 具体的な予算総額は前橋市が1372億5614万1000円、高崎市が1591億9000万円、桐生市が436億9000万円、伊勢崎市が657億5000万円、太田市が729億3000万円、沼田市が203億1606万円、館林市が258億2000万円、渋川市が331億7700万円、藤岡市が237億9000万円、富岡市が186億円、安中市が225億400万円、みどり市が171億4400万円-で、桐生市、藤岡市、安中市を除く9市が前年度対比で増加したものの、子ども手当増額分を除くと7市が減額編成となっている。
 一般会計総額が二桁台の増加率となった前橋市と高崎市。とりわけ、高崎市は前年度対比で18・2%増の積極型予算を編成。旧吉井町分を含めた実質伸び率は11・2%増。予算内示の記者会見で松浦幸雄高崎市長は「『安全で活力あるまちづくりの実現』を最重点に配分」と編成方針を説明した。一般会計の総額が6年ぶりに前年度を上回った沼田市は前年度対比2・7%増。ただ、子ども手当分を除いた実質額は前年度比1・0%減となる。星野已喜雄沼田市長は、「スリム化を図る中、市民生活に直結する事業に重点を置き、創造性豊かで、明るく元気なまちづくりを目指す」と身近な市政運営を強調した。
 一方、普通建設事業費を見ると、前橋市が228億3117万円(前年度当初額172億4125万6000円)、高崎市が229億3819万2000円(同223億1517万4000円)、桐生市が30億5891万3000円(同50億3325万6000円)、伊勢崎市が72億923万円(同76億5836万円)、太田市が80億4220万8000円(同87億7506万円)、沼田市が9億468万円(同8億3073万8000円)、館林市が22億4523万3000円(同20億045万8000円)、渋川市が41億3852万5000円(同35億8900万2000円)、藤岡市が35億6800万1000円(同46億7541万2000円)、富岡市が13億2476万9000円(同16億486万3000円)、安中市が27億6984万5000円(同35億2121万1000円)、みどり市が12億908万6000円(同21億9031万4000円)-で、大幅増の前橋市のほか、沼田市、館林市、渋川市の4市が増額編成となり、残りの8市が公共投資の抑制に踏み切った格好だ。
 普通建設事業費の増減から各市の特徴や主要事業を見てみる。大幅増となった前橋市は『活性化』と『元気』がキーワードで、高木政夫市長は、内示の記者会見で「市内の中小企業の活性化、市内経済の元気につながってくれれば」と期待。主要事業に新規の西消防署建設事業をはじめ、市民文化会館の大規模改修、児童文化センター再整備事業、前橋工科大学新実験棟建設事業といった『ハコ物』以外にも、公園整備なども多く予算化されている。
 高崎市では、群馬地域運動広場(仮称)や生涯学習センター・男女共同参画センター(仮称)など、新市基本計画に盛り込まれている事業が新年度にピークを迎える。また、中核市移行に向けた保健所準備事業の動物収容施設の設計・工事に着手するほか、榛名地域福祉会館(仮称)建設事業や吉井地域の総合福祉センターや障害者施設建設事業も進める。既存の斎場に代わる新施設建設に向けた基本構想の策定にもとりかかる予定だ。
 大型継続事業のピークを超え、普通建設事業費が39・2%減と大幅な落ち込みを見せた桐生市。小中学校の耐震改修事業がメーンとなり、小学校耐震改修費に7億3912万8000円、中学校耐震改修費に1億1760万9000円をそれぞれ計上。さらに、桐生養護学校と小学校特別支援教育施設の複合化を図る特別支援教育施設整備費に3億216万9000円を確保している。
 桐生市と同様、普通建設事業費を抑え気味にした伊勢崎市。教育施設の耐震関連事業などに億単位の予算計上はあったものの、土木関連では継続事業が多い。教育施設関連では北第二小学校体育館新築工事や茂呂小学校校舎増築工事、宮郷小学校プール新築事業などを盛っている。
 「建設関連事業を精査し、重要度の高い事業に予算配分を行った」とする太田市では、児童館建設事業(児童センター)、韮川小学校給食施設改築事業、(仮称)東部消防署建設事業、市営住宅建設事業(軽浜団地など)のほか、教育施設の耐震関連事業が予算化されている。
 12市の中で唯一、普通建設事業費が10億円を割った沼田市。継続で進めている中心市街地活性化に向けた区画整理事業で、道路改良費や移転補償費3億2505万5000円を計上しているほか、温水プール管理事業(利根町振興局)として改修費などを含む6139万3000円を盛り込んでいる。
 前橋市、渋川市に次いで普通建設事業費の伸びを見せた館林市。大きな伸びは、学校施設の耐震化が主な要因で、中学校施設整備事業費に4億7296万3000円を計上。土木関係は、青柳広内線道路改良事業の用地買収費や東部環状線改良事業における調査・設計費を確保している。
 普通建設事業費の伸び率が2番目だった渋川市もやはり、教育施設の耐震関連事業が大きな要因となっており、計8校の耐震補強を進める。また、伊香保温泉再生事業では、老朽化したハワイ公使別邸の現況調査および実施設計、(仮称)観山広場整備工事などに3億3839万円を盛り込んでいる。
 藤岡市も同様、教育関連事業に大きな予算を投じており、3校の大規模改修工事のほか、鬼石小学校のプール設計費が盛られている。
 普通建設事業減の理由を「富岡製糸場への受け入れ整備事業が今年度で終了するため」と回答した富岡市。ハード事業のメーンは小中学校施設整備事業で、前年度比で約1・5倍となる5億5881万2000円を計上している。このほか、新規事業として久保市営住宅団地をリニューアルさせるための測量業務委託費300万円を確保。24・25年度に工事を実施する見通しだ。
 安中市は、新規として公立碓氷病院大規模改修事業を盛り込み、新年度は設計に着手する。また、注目すべき事業は民間保育所2園への建て替え補助。後閑あさひ保育園と西横野保育園の建て替え事業が対象で、2園に対し計2億3846万6000円を計上している。
 12市の中でもっとも普通建設事業費の落ち込みが顕著だった、みどり市。見込んでいた大間々給食センター建設事業の見送りが大きな理由の1つ。一般会計も合併後初となるマイナス編成となるなど、ほかの市と同様、財政状況の厳しさが伺える。主な建設関連事業は、学校耐震改修事業や文化ホール施設改修事業など。当初予算案には鑑定料および測量費230万円のみの計上となった大間々給食センターだが、早期に建設地を決め、事業に進捗が見られれば用地費などを補正予算で計上する方針だ。
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この情報は「群馬建設新聞」2010年3月11日付紙面に掲載されました。

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