国土交通省 鈴木英二郎大臣官房審議官就任インタビュー「建設業の働き方改革に期待」
建設業の担い手対策に取り組む国土交通省大臣官房審議官(土地・建設産業局担当)の鈴木英二郎氏が就任インタビューに応じた。厚生労働省からの出向で、これまで主に労働行政の法改正を担当してきた鈴木氏は「国土交通省も働き方改革一色で他省に来た感じがしない。同じ働き方改革でも見方によって見え方が違ってくる。建設の専門家が見えないところを助言させていただき、建設業の働き方改革が少しでも進むように頑張っていきたい」と抱負を語った。
直近3年間で働き方改革に関わってきた立場から、「建設業は断トツで働き方改革に熱意があると見ていたが、こちらに来て本当に実感した。建設業は同じ現場でいろいろな会社が一緒に働くため、一つの企業だけでは改革が進まない。だからこれまで進まなかった面もあるが、逆にだからこそ一緒になれば一気に進む面もある」と期待を寄せる。
建設業の働き方改革では休日の拡大が大きな課題となっている。鈴木氏は、「多面的な取り組みを行った上で、まずは先進事例を調査し、それを業界全体に広めていく地道な努力が必要。これをやれば全て解決というものはない」としながら、「ハローワークで若い人が求人票を見る時、まず週休2日かどうかを見る。建設業の魅力があろうがなかろうが、週休2日でなければ、そこで排除されてしまう。これはあってはならない。現実的にできる範囲で実態を調べながら、知恵を絞っていくしかない」と話す。
社会保険に関しては未加入対策を通じて加入が進んだことを「業界が本気で取り組んでいる証し」と評価。今後は直轄工事における取り組みを地方自治体や民間発注工事まで広げることが重要であるとし、「まずは加入率100%を目指す。さらには100%加入しているのが当たり前という状況を作っていかなければいけない」と強調した。
建設キャリアアップシステムについては、「全業種で初の取り組みであり、画期的なシステム。建設業はさまざまな会社が同じ現場で働くため、業界全体でやらなければいけないという問題もあるが、その裏返しのメリットでもある。企業横断的な評価システムをカードで管理し、それを企業への評価にもつなげて業界全体として高めていくことは本当に素晴らしい」とした上で、「評価制度の仕組みがどれだけきちんとできるかがポイントになる」との考えを示した。
【略歴】すずき・ひでじろう
1988年東大法学部卒、労働省採用。厚生労働省労働基準局総務課長、参事官(併)政策統括官付労働政策担当参事官室長、職業安定局派遣・有期労働対策部長を経て本年7月11日付で現職。64年10月生まれ。52歳。東京都出身。