国土交通省 野村正史国土政策局長インタビュー「付加価値生み続ける国土形成を」
国土交通省の野村正史国土政策局長が就任インタビューに応じ、今後の国土政策やスーパー・メガリージョン構想検討の見通しを語った。
人口減少下における国土政策の在り方については、「地域経済の持続可能性を確保するために定住人口を増やす取り組みを続けていく。定住人口を増やすことは大変な課題だが、万策尽きたと考えるのも早計かと思う」とした上で、「居住機能と、それを支えるさまざま機能の拠点化によって集約を図り、コンパクト・プラス・ネットワーク構造を国土全体に重層的に構築することによって、国土管理と地域経営のコストを縮減して、人口減少、少子高齢化の中でも付加価値を生み続けられる国土形成を図っていくのが当面の目標」と話す。
リニア中央新幹線などの高速交通ネットワークの整備で国土構造に生まれる大きな変革の効果を最大限に引き出し、全国に波及させるため、同局では「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置して課題を抽出、解決に向けた方向性を検討する。2018年夏に中間とりまとめ、19年夏の最終とりまとめを目指している。スーパー・メガリージョン構想について野村局長は、「リニアが出来ると、1時間圏内に世界最大級の都市圏が誕生するということ自体が、すごくインパクトのあること。一つの日本の価値創出のコアになる」と期待を込める。今後の検討会では、「リニアの整備が日本全体に最大限の価値創造をもたらすことができるように、今から英知を結集して準備をしていく。リニア時代の国土やビジネス、暮らしの在り方などを自由に議論してイメージを膨らませて、今から何を進める必要があるのかを整理したい」との考えを示した。
国土・地域計画の海外展開に関しては、「これから国土の開発が進む国において、国土計画、地域計画という計画の最上流の段階から相手国の計画策定等に積極的に関与していく。インフラが具体的に整備される際に、わが国としても関与していける余地を作ることで、質の高いインフラの海外展開につなげていきたい」との姿勢を見せる。
【略歴】のむら・まさふみ
1985年東大法学部卒、建設省採用。土地・建設産業局不動産業課長、総合政策局総務課長、大臣官房政策評価審議官(兼)大臣官房秘書室長、水管理・国土保全局次長を経て本年7月7日付で現職。61年8月生まれ。56歳。富山県出身。