国土交通省関東地方整備局 佐藤寿延(さとうひさのぶ)河川部長インタビュー
関東地方整備局の佐藤寿延河川部長は就任インタビューで「八ツ場ダムはゴールが見えてきておりうまく仕上げたい。次の大プロジェクトとして荒川調節池などの整備があり、着々と進めるための道筋をつけていきたい」と意欲を示した。
直近10年は本省に在籍し「関東整備局はほぼ10年ぶりの勤務」とした上で「首都圏を抱えており治水対策の万全の備えに力を尽くす」と述べた。ハード整備に関して、手法の一つに高規格堤防があるが「国民に高いレベルの安全性を提供できるものだが、事業の進め方が大事になってくる」とし「長い目で見て進めていく事業」と認識している。
河川は降雨から被害発生までリードタイムがある。被害が起こらないよう「その時間をどのように使っていくか」と捉えている。また「ハード政策は作ったときから効果が出るがソフト政策はきちんと理解されてから効果が出るもの」とし「リスクコミュニケーション(危機の情報共有)を大切にしていきたい」という。
水管理・国土保全局河川環境課河川保全企画室長の担当時に『命を守る水害読本』(毎日新聞出版)の執筆に携わった。地方自治体の防災担当者へ向けた住民目線での水害対策について、ソフト面の対策を中心に分かりやすい内容に仕上げた。
2009年から4年間にわたって担当した河川局防災課防災調整官時代が思い出に残る。当時は東日本大震災や紀伊半島大水害、笹子トンネルなどの大きな災害・事故が多数発生し「危機管理に関わったことは印象深くインフラの役割を伝えることは重要で大事な時期だった」と振り返る。
「与えられた局面でしっかりと頑張る」ことをモットーとしている。
【略歴】
1991年京都大学大学院工学研究科修了、同年建設省入省。湯西川ダム工事事務所長、総合政策局公共事業企画調整課事業総括調整官、水管理・国土保全局河川計画課河川情報企画室長などを経て7月31日より現職。兵庫県出身、53歳。趣味はランニングだったが、昨年病気となったこともあり、新しい趣味を探している。