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国土交通省北陸地方整備局(建設)

芋川地すべり完了で式典/安全・安心取り戻す

2017/03/23 新潟建設新聞

 中越地震で被災した芋川地区において、地すべり対策事業を進めてきた北陸地方整備局は本年度の事業完了に伴い、18日にホテルニューオータニ長岡で「芋川地区直轄地すべり対策事業完了記念式典」を盛大に挙行した。

 同局や国土交通省本省幹部、県知事、地元選出国会議員、関係市長のほか、多くの地元関係者らが臨席。11年間かけ進められてきた事業完了を見届けるとともに、地域の安全・安心、さらなる発展へ願いを込めた。

 中越地震は、2004年10月23日に発生。北魚沼郡川口町(現在は長岡市)の直下を震源とし、最大震度7を記録した逆断層型内陸地殻内地震で、芋川流域では多数の土砂災害が起き、道路の寸断などにより旧山古志村の14集落全てが孤立したほか、崩壊した土砂が河川をせき止める河道閉塞が多数発生した。これを受け、国では河道閉塞箇所に対する緊急対応を実施し、06年4月からは、人家などへの被害発生が懸念される19地区・56カ所を対象に地すべり対策工事に着手した。187億円の事業費を投入し、集水井工や頭部排土工、押え盛土工、法枠工などを広範囲にわたり実施した。

 式典では冒頭、同局の中神陽一局長が「地震によって荒廃した山林の緑も回復し、自然景観とともに、住民の生活も震災前の姿に戻りつつある。本事業の成果が流域の皆さまの安全と安心の向上、地域の生活基盤の安定に多大な効果を発揮し、良好な生活環境の確保と震災からのさらなる復興に大いに貢献することを確信している」とし、対策事業の果たした役割の大きさを強調した。

 続く、国土交通省水管理・国土保全局砂防部の西山幸治部長も対策事業の意義とともに、関係機関をはじめ、地元住民および地権者、工事を手がけた建設会社や測量会社へ感謝の言葉を口にした。

 今後、管理を担うこととなる県の米山隆一知事は「流域の安全・安心が確保された対策事業の役割は大きく、感謝申し上げたい」とたたえた。

 旧山古志村長で、現在は衆議院議員を務める長島忠美議員は被災時を振り返るとともに、11年の長きにわたる対策事業の完了に対し、感謝の意を表した。

 その後、同省湯沢砂防事務所の森下淳所長が対策事業の経過報告を行い、中神局長から米山知事へ事業目録が手渡された。

 休憩を挟み、長島議員が「中越地震と山古志の復興」をテーマに記念講演を行った。村長として対応にあたった長島議員は、被災当日のようすやライフラインの寸断、全村民の避難状況などを生々しく語った。

【写真=完了記念式典のようす、中神局長(左)から米山知事へ事業目録が手渡された】

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