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甲府市上下水道事業懇話会 計画的に耐震化を

2017/06/27 山梨建設新聞

 甲府市は22日、「第8回甲府市上下水道事業懇話会」を開催し、懇話会の込山芳行座長が、甲府市上下水道局の職務代理者堀内正仁業務部長へ経営戦略の策定に向けた提言書を提出した。

 堀内部長は「(提言については)現在の経営戦略2008の検証とともに、基本理念あるいは経営方針、フォローアップなど全般に渡る内容。提言内容を真摯に受け止め、本年度中に策定する経営戦略に反映させていただきたい」と話した。

 提言書には、人口減少が厳しい環境においても「施設の更新および耐震化が計画的に行われることを期待する」との一文を加えたほか、経営方針から長期財政収支見通しなど、18年度から10カ年の市上下水道事業のあるべき姿と方向性を示す「甲府市上下水道事業経営戦略」へ反省させる。本年度末の策定を目指す。

 甲府市上下水道事業経営戦略は、総論、水道事業ビジョン、下水道事業ビジョン、フォローアップ-など4章で構成する。

 人口減少に伴う料金収入の減少や施設などの老朽化に伴う更新費用の増大により経営状況は厳しいため、市民生活に欠かせないライフラインの確保と経営基盤の強化、財政マネジメントの向上を図る。

 市内の水道管の給水区域内の総延長は1445kmで、15年度末の耐震延長は152km(耐震化率は10・6%)。鋳鉄管(K型)と塩ビ管を07年度からNS管、14年度からポリエチレン管へと耐震化を実施している。

 下水道管の市内汚水管渠総延長は91万5478・62mで、15年度末の耐震済みは34万8525・61m(耐震化率は38・1%)。鉄筋コンクリート管から1988年(昭和の終わり)ごろから、耐久性が高く、安価で機能的な塩ビ管へ交換。耐震化では、耐震性継手の採用や液状化対策としてリブ管使用をしている。すでに管渠の耐震化設計が終わり、総合地震対策計画も策定済み。

 事業経営戦略(施設関係)は次のとおり。

 【水道事業】

 ◆水道管路の耐震化率は2017年度目標値15%に対して15年度末で10・6%。大規模地震による断水が広範囲にわたる復旧にも時間を要し、避難生活が長期になることが懸念される。

 水道施設の耐震化は「新水道ビジョン」に示された「強靱」の重要項目であることから、管路の耐震化を迅速に進め、出来る限り早急に耐震化率の向上を目指していくためにも更なる推進を図られたい。


 【下水道事業】

 ◆下水道の地震による被害は、市民生活や公衆衛生などに重大な影響をおよぼすため、東日本大震災における新たな知見に基づく技術情報などを有効活用し、引き続き必要な機能確保のための耐震化を図ることが必要である。

 ゲリラ豪雨などによる道路の冠水被害は市民の安全な生活を脅かすものであるため、浸水対策の充実を図られたい。



【写真=提言書を堀内職務代理者(左)に提出する込山座長(右)】

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