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(一社)千葉県建設業協会

小高・県議長を表敬訪問/「県独自施策」で発議も/千葉県建設業協会三役

2017/08/01 日刊建設タイムズ

 (一社)千葉県建設業協会の畔蒜毅会長をはじめ、髙橋順一、小宮山房信、金城総円の各副会長と大林正章・専務理事の三役一行は先月31日、県議会を訪ね、7月12日に第71代千葉県議会議長に就任した小高伸太氏を表敬訪問した。表敬あいさつに引き続き、小高議長の取り計らいで行われた会談では、平準化発注やバランスのとれた予算配分、95%での最低制限価格設定、「観光立県ちば」に向けた道路環境整備の重要性などを焦点とする討議に発展した。


 ◆9月繰越工事で平準化


 会談では、まず、畔蒜会長が現在の発注方法について「会計法などの問題があり大変だとは思うが」と前置きしたうえで「端境期である4~6月は、最も働きやすい環境にありながら、発注量が少ない」と指摘。繰越工事については「2月議会ではなく、遅くとも12月議会、出来れば9月の段階から計画し、繰越工事に予算を措置していけば、今のような年度末の3月に集中している工事が分散され、平準化に繋がるのではないかと思う」と提案。「是非とも、予算の増額と平準化について、その辺の事情を県議会にもご理解頂きたい」と要望した。


 ◆95%で適正利潤も


 また、(一社)神奈川県建設業協会の話を例に「横浜市は最低制限価格を95%に設定。神奈川県においても、建築が95%、土木が概ね93%となっている」と説明。本県の場合は、国の動向に合わせ90%に留まっていることに言及。「95%以内で受注すれば、まじめにさえやっていれば、国の言う適正利潤が上げられ、それが必ず地域の活性化に繋がると思う」とし「千葉県においても、出来れば最低基準価格を独自に上げて頂ければ、業界として育て方をはじめとする様々な分野に活かせると思う」と提案。

 一方で「予算が横ばいで労務単価や間接経費が上がっているということは、工事量が減っているということになる」と指摘した畔蒜会長は「県の6月補正では『肉付け予算』として増やして頂いたが」と述べ「地域間における『量的較差』が生じており、このままだと『災害対応空白地域』が発生してしまう恐れがある」と警鐘。

 このことから「バランスの良い予算配分をお願いしたい」と訴えた。

 これらを受けて小高議長は「私自身も地元(勝浦)との付き合いも長く、県の議員連盟にも入っていることから、みなさんからの要望等も聞いている」と前置きし「当然、すそ野の広い業界が良くならなければ、地元は良くならない。『地元で出来る仕事は地元でというのは当然』だと思う」との見解を示した。


 ◆建設業の本質を伝えるメディアに


 転じて「人が集まらないという問題もあろうかと思う」と投げかけた小高議長に対して、畔蒜会長は「ご指摘の通り、少子化の影響をもろに受けている。建設業はやりがいがあると思う一方で、大変だという悪いイメージが今でも根強く残っている」と返答。加えて「それは、子どもたちよりもむしろ、親御さんたちに言えることである」とした畔蒜会長は「学校の先生方は、建設業について『社会的な使命も大きく、大事な役割を果たす仕事』ということを声を大にして子どもたちに伝えてくれている」と説明。一方で「そのことを是非、テレビや一般紙などのメディアにも(正しく)理解して頂ければ、(建設業の)イメージも変わってくる」との考えを示した。

 今年もこれまでに、大雨等による大きな災害が九州と東北で発生。「その時も、地元の建設会社が真っ先に出動している」と報告した畔蒜会長に対し、小高議長は「その辺は重々承知しているが、一般の方々には割と分かりづらいことでもある。それらのきめ細やかに連携しながらの対応がなければ、私どもも安心した生活は送れない」と言明。これを受けた畔蒜会長は「そういった意味からも、地元と密着する県内業者の優位性が見えるような、千葉県独自による政策を模索し、発案して頂ければ、我々としては大変嬉しく思う」と理解を求めた。


 ◆観光立県ちばへ


 森田知事が先頭に立ち観光立県を目指す方針に「道路整備もおもてなしの一つ」と位置づけていることについて、「昨年も陳情させて頂いたが」とした畔蒜会長は、道路の現状が「傷んだままで道路脇の草は伸び放題、白線は消えかかっている。地方に行くと歩道が狭く、歩道のない場所もあり、道路には民地の草が生い茂って車道を狭めているところも多い」と指摘。それらについては「県土整備部の予算だけでは限りがあるので、観光面を含めた横断的な観点からの道路環境整備が必要なのではと、改めてお願いしたい」と要望。

 これに対して「私もそれは痛切に感じる」と述べた小高議長は「実は以前、髙橋副知事に『何とかしてほしい』と、同じことを直接話したことがある。昔は(草刈を)年に3回、4回と行っていたものが、今は1回という、とんでもない話である」と同調した。

 さらに畔蒜会長は、国に対して「現行のかたちではなく、年間を通した維持管理として知恵を出し合いながら進めていけば、トータルコストは下げられる」とし「単年度予算で難しければ、2か年事業として年度末に発注することで、特に小さい業者が4月以降の仕事の端境期に充てられることは、平準化の意味も含めて非常に大きな意味を持つと思うと提案した」と説明。小高議長には「是非とも、県議会の方からも発議して頂きたい」と要望し、会談を終えた。

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