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長生郡市地籍調査協会

基本計画策定と予算を/地籍調査の早期完成訴え/国交省で意見交換/全国地籍調査推進委員会

2017/08/09 日刊建設タイムズ

 全国地籍調査推進委員会(委員長=石塚修・(一社)長生郡市地籍調査協会代表理事、千葉県地籍調査推進委員会総務企画部会長)の石塚委員長をはじめ、各支部代表幹事ら一行は4日、東京・霞が関の国土交通省土地・建設産業局地籍整備課の野原弘彦課長を訪ね、「地籍調査を早期に完成するための予算措置と対策を講じて頂く」と題した、6項目からなる要望書(別項)を手渡すとともに、約1時間にわたる意見交換を行った。同委員会は、昨年10月に1都4県における12支部、会員総数738人で発足し、現在は同15支部、会員総数880人規模まで発展。また、この日は同じく都内で2017年度定時総会も開き、17年度事業計画などを全会一致で承認した。


 ◆野原・地籍整備課長に要望書


 総会の議案審議に先立ち石塚委員長は「自分で言うのもおこがましいが」と前置きしたうえで「『千葉長生方式』の取り組みが今、全国から注目を集めている」と紹介。その地籍調査において「これから何が必要かと言えば、やはり予算である。予算が増えないことには何も進まない状況にある」と指摘し「地籍調査はいわゆる『国民ファースト』の事業であり、この委員会は、全国の人たちの『国民の声』であると自負している」との立場を強調した。


 ◆国民ファースト事業立ち上げを


 また「今は『業界目線』では仕事は増えない。国民ファーストで事業を立ち上げることが、未来永劫続くこととなり、そこで生き甲斐や誇りを持って働くことが出来ると思う」との持論を述べた石塚委員長は、一方で「地籍調査事業は何とか予算が増えてきたが、我々の業界でも人手不足、特に『若手不足』が深刻である」と指摘。「予算を増やすことに加えて、この業界が元気になり、『地籍調査をやりたい』という若い人たちが来てくれることが重要である」と主張。

 それには「全国推進委員会が『本当に必要』であり、何をやるにも『江戸時代の地図はもう終わり』で『21世紀の境界の地図をつくることが、本当のスタートになる』というところに立たなければいけない」とし「これからは、国に対して『やる気のあるところに予算を回してくれ』ということを強く訴えていきたい」と言明した。


 ◆「署名活動」に注力/「国民の声」を国に


 さらに「それにセットするかたちで、引き続き『署名活動』にも力を入れていきたい」と述べた石塚委員長は、今年4月から全国支部組織で行った活動で、1万6400人からの署名が集まり、これまでの千葉県内での7万人分の署名を合わせると8万6400人になることを報告。

 これに対して「はっきり言うと、まだまだ小さい」と述べた氏は「署名の数は『業界のやる気』しかない。1万6400人の中には、千葉県白子町の97%の職員(160人)が署名活動を行い、1600人分を集めている。それは何故かと言えば、我々が啓発活動を進めている『町長の号令一つ』である」と強調。署名の力について「『住民がこれだけ求めている』となると、予算は付くものである。そこに我々が体制をつくる。ともかく『魅力ある業界をつくる』ということと、長く勤めて頂くためには、継続して社員を育てる環境や、将来性のある会社をつくることが必要となる」とのビジョンを示した。

 最後に石塚委員長は「この全国委員会がますます拡大発展するとともに、各支部の地域の地籍調査が円滑に、かつ住民から感謝され、働く人たちが誇りに思えるような業界を、是非一緒につくって頂きたい」と呼びかけ、あいさつを結んだ。


 ◆山林部地籍調査や10条包括委託など


 転じて、その後の国交省での意見交換の席では、野原・地籍整備課長が「私ども地籍整備課としても、みなさんの草の根的な地籍調査の重要性並びに普及活動なり、効率的な調査の実施に向けて取り組んで頂いていることに感謝申し上げる」とし「(別項の)要望書を頂いたので、これに関連して最近の状況を踏まえて話をさせて頂きたい」と応対。要望事項のうち、予算をはじめ山林部の地籍調査の推進、「10条二項包括委託」の活用促進などに対する見解を示した。



 「地籍調査を早期に完成するための予算措置と対策を講じて頂く」

 ○現状の国の予算(約130億円)では、完成に200年以上を要するとされており、長期化の弊害が大きな障害となっている。地籍調査は、緊急性のある事業であるため、可及的速やかに予算拡大を図って頂きたい。地籍調査整備を30~50年以内に完成させる「基本計画の策定」と「予算措置」を講じて頂きたい。

 ○当面は、早期完成を目指す都道府県・市区町村の当初事業計画に対する予算を確保して頂きたい。

 ○2016年度から施行されている「社会資本整備円滑化地籍整備事業」の実施要件の拡大を図って頂きたい。

 ○山林部の地籍調査の推進を図るため、国として「林野庁を含む地籍調査総合推進体制」を作って頂きたい。

 ○国土調査法「10条二項包括委託」(的確な法人であれば、市区町村の行う業務の大部分を民間委託することが出来る)の活用を促進して頂きたい。

 ○早期完成を目指す市区町村に「的確な指導・アドバイス」をする仕組みを作って頂きたい。

 以上、国当局に要請する。

   2017年8月4日

     全国地籍調査推進委員会 委員長 石塚 修

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