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事業計画概要書を公表/場外施設への送電も検討/千葉市 北谷津新清掃工場

2017/08/18 日刊建設タイムズ

 千葉市は、同市環境影響評価条例に基づき北谷津新清掃工場建設に係る事業計画概要書を作成し、16日に公表した。対象事業の目的及び内容、計画段階環境影響評価の概要、計画段階環境配慮書に対する市民等及び市長の意見と事業者の見解、事前配慮の内容等を盛り込んだ。同事業は、市が資金を調達し、設計・建設・運営を民間に委託するDBO(公設民営)方式で計画されており、2021年度から25年度までの5か年で既存施設の解体から新清掃工場の建設までを行い、26年度の供用開始を目指している。

 新清掃工場は、昨年度末で運転を停止した北谷津清掃工場用地(若葉区北谷津町347)に、焼却灰の軽減が期待できるガス化溶融方式、処理能力585t/日(195t/日×3炉)で計画。ガス化溶融方式のうち、シャフト炉式または流動床式どちらを採用するかは、事業者選定時に決定することになっている。

 整備区域の面積は3万1710㎡で、土地利用計画は建物・建築物等約1万500㎡、緑地約9600㎡、道路(エントランス含む)約6600㎡、駐車場約3400㎡、池約1600㎡。また、煙突は排ガスの拡散(ダウンドラフト)を防ぐため高さ約130mで計画しているほか、工場建屋は高さ約43m、建築面積約1万500㎡、延べ約2万3500㎡で計画。また、周辺への日照阻害や景観面を考慮して、煙突を北側、プラットホームを南側に配置する方針。

 公害防止計画としては、大気質の汚染を防止するため、ばいじんやダイオキシン類をバグフィルタで捕集するほか、窒素酸化物は触媒脱硝設備で分解し除去。

 水質汚濁の防止に関しては、プラント系排水は排水処理を行った後、施設内で再利用し、余剰分は下水道へ放流。生活系排水は下水道放流とし、雨水排水は施設内に設ける雨水貯留槽に一時貯留した後、下水道(雨水管)へ放流。

 臭気対策に関しては、プラットホームは臭気が外部に漏れない構造とするほか、ごみピットはピット内の空気を燃焼用空気として吸引し、吸引した空気を燃焼に使用することで臭気成分を分解。吸引した空気を処理するのに十分な脱臭装置を設置する。

 また、余熱利用に関しては、場外施設へのエネルギー供給として既存施設で行ってきた高齢者施設(若葉いきいきプラザ)及び北谷津温水プールへの熱供給を新施設でも継続して行うほか、現在は行っていないこれらの施設への送電も検討。

 電力供給は、若葉いきいきプラザ108kw、北谷津温水プール360kwを想定。余熱は、若葉いきいきプラザが70度Cの温水を最大9立方m/時、北谷津温水プールが0・3MPa飽和蒸気を最大2・4t/時供給。発電は、高効率の発電を行い、場内利用及び場外施設への送電を差し引いた残りを売電。処理方式により発電出力は異なるが、シャフト炉式の場合は副資材として熱量の高いコークスを投入するため、流動床式よりも発電出力は大きくなる。

 このほか防災対策として強固な耐震性に優れた施設とし、倉庫等に非常時の飲料水、食糧等を備蓄するエリアを設けるなどして、見学者説明室等に近隣住民が一時避難できるようにする。

 本年度で実施方針の公表及び特定事業の選定・公表を行い、来年度で入札公告から落札者決定までの手続きを進める予定。その後、19~20年度で設計、21年度から25年度までの5か年で既存の工場の解体撤去工事、建築土木工事、建築工事、プラント工事、外構・植栽工事、試運転等を行い、26年度の供用開始を目指す。

 解体する既存の北谷津清掃工場(150t×2炉)は、日立造船の施工により1977年12月に稼働を開始したが、昨年度末で運転を停止している。

 また、新清掃工場の環境影響評価業務は八千代エンジニヤリング、PFI導入可能性調査は日建技術コンサルタント、施設整備・運営事業アドバイザリー業務は八千代エンジニヤリングがそれぞれ担当しているほか、現在、余熱利用施設及び地域活性化可能性調査の公募型プロポーザルを行っており、来月上旬にも選定結果を公表する予定。

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