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【所有者不明土地問題】所有者探索で権利者調査を合理化

2017/12/06 本社配信

 所有者不明土地問題に関する制度の方向性を検討している国土交通省の有識者審議会は、5日の会合で中間とりまとめ案を固めた。喫緊の課題である所有者不明土地の円滑な利用を可能にする制度として、公共事業のために収用する場合の手続きの合理化、公園や広場など地域住民のための公共的事業に最低5年程度の一定期間の利用権を設定する新たな仕組み、所有者の探索を合理化する仕組みの構築などを盛り込んでいる。国交省では同案を踏まえて来年の次期通常国会への法案提出に向けた具体的な作業に着手する。

 道路や河川などの公共事業では土地収用制度の特例措置を、地域住民等のための公共的事業では土地の暫定的な利用を可能とする。対象は反対する所有者がおらず、定型的な補償算定が困難な建築物が存在しない、現に利用されていない土地。不明者がいる場合の用地取得に当たっては、原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することで権利者調査を合理化する。

 公共事業の場合、補償金の額などは収用委員会ではなく都道府県知事が裁定する。また、事業認定を円滑化するため、国交省本省に相談窓口を開設し、自治体等からの相談を受け付ける。

 地方自治体や民間への支援も強化する。地方自治体に対しては整備局から用地業務に精通した職員の派遣や、整備局、自治体、関係団体で構成する協議会を組織して自治体からの相談に対応する。所有者不明土地を利用しようとする民間主体には自治体による助言や専門家のあっせんを行う取り組みを促す。

 他にも適正な土地利用を図る観点から、土地をめぐる行政活動、経済活動の基礎データとなる地籍調査を引き続き推進していくことが重要とした。

 なお、所有者不明土地の発生抑制や解消に向けた抜本的な対策については、登記制度や土地所有権の在り方などと深く関連するため、今後、政府全体で検討が進められる見通しだ。

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