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山梨県森林環境部

須玉町の投棄産廃/代執行工法の実施設計着手/撤去命令進まず

2017/12/09 山梨建設新聞

 北杜市須玉町に不法投棄されている産業廃棄物への対策について、県議会代表質問(7日)で浅川力三議員(自民党誠心会)が県の対応をただした。

 後藤斎知事は答弁で、「本年9月補正予算で行政代執行の実施に備えた予算を計上し、先般、実施設計に着手した。現在は、硫化水素の発生抑制や漏出防止を十分に図る上で、野積みをされた廃棄物に適した固化剤の配合割合を決定する検討を実施している」と説明。

 今後については「硫化水素の専門家などで構成する検討委員会の意見を聞きながら、施工中の作業員や周辺地域の安全性を考慮した具体的な工事の実施方法などについて検討を進めていく」と答弁した。

 また、検討作業に平行して「引き続き職員が現場へ赴き、廃棄物の崩落の有無や大気中の硫化水素濃度の確認などを行い、地域の安全確保に努めている」と説明した。

 さらに、廃棄物の原因者に対して「全量撤去命令の履行を強く指導するとともに、原因者による対応が行われない場合には、速やかに行政代執行に着手できるよう、準備を着実に進めている」と答弁した。

 県は9月補正予算に、行政代執行を行う場合の対策工事の実施設計費や検討会議の開催費として4887万3000円を計上した。

 産廃は、須玉町の塩川沿いの2カ所に野積み放置されている。内部で4000ppmを超える高濃度の硫化水素が発生したことから、県では昨年3月に全量撤去するよう廃棄物処理法に基づく措置命令を出した。

 しかし撤去が進まず、県では行政代執行を前提に対策工法などを検討する会議を設置。検討会議では、最適な工法として粘土とセメントを混ぜて固化させる「セメント安定化」(工事費は約5・8億円、工期14カ月程度)を提示している。

 対策工法の基本設計はパシフィックコンサルタンツ山梨事務所(甲府市)が担当。

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