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【高規格堤防】効率的な整備へ共同事業の積極提案を

2017/12/14 本社配信

 国土交通省が5月に設置した高規格堤防の効率的な整備に関する検討会(宮村忠座長・関東学院大学名誉教授)は12日、今後の推進方策をまとめた提言書を水管理・国土保全局の山田邦博局長へ手渡した。提言では、河川管理者が地方自治体等の多様な市街地整備の考え方も踏まえた上で、高規格堤防との共同事業を積極的に自治体や民間事業者などに提案していくべきとしたほか、河川管理者と沿川の自治体等が将来像の認識を共有、連携しつつ都市の安全を確保する手段として高規格堤防の整備を共同で進めていくことが急務と強調している。

 また、今後取り組むべき方策として、予定区域を明示して共同事業者を公募する方法、税制等の支援制度の検討、盛土と建築物などの一体的な施工および大規模開発を誘発する仕組みづくりなどを提言した。

 宮村座長は、これまでの議論の経緯を振り返りながら、「高規格堤防の整備の進展をお願いしたい」と要請。山田局長は「河川管理者が積極的に高規格堤防を進めていくということを発信するとともに、提言で示された方策を具体化し、高規格堤防の整備を着実に進めていきたい」と話した。

 高規格堤防の整備は人口や資産等が密集する首都圏と近畿圏の荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川の5水系5河川におけるゼロメートル地帯約120㎞が対象。2011年に開催した高規格堤防の見直しに関する検討会の審議を踏まえて、整備区間を大幅に絞り込んだ経緯がある。

 本年3月時点の整備状況は約14㎞が整備済みで、うち高規格堤防の基本的な断面形状が確保されている区間は約3・3㎞にとどまる。ただし高規格堤防は、一部区間が整備された場合や基本的な断面形状が完成していない場合でも堤防の安全性が格段に向上し、災害時の避難場所としての機能や良好な住環境の提供など治水上の効果を含めた、さまざまな効果を発揮する。提言では、その効果を河川管理者と自治体が積極的に発信し、効果が早期に発揮されるよう整備を着実に進めていくことの必要性について、理解を得ていくことが重要とした。


【写真=宮村座長(左)が山田局長へ効率的な整備推進を提言した】

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