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波除堤は20年度完成を/防波堤は26年度に延長/常陸那珂港区国際海上コンテナターミナル

2018/01/17 日本工業経済新聞(茨城版)

 国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(12月21日)で、「茨城港常陸那珂港区外港地区国際海上コンテナターミナル等整備事業」の継続が了承された。今後も防波堤(東)、波除堤(中央)の整備を進め、波除堤(中央)は2020年度の完成を予定。防波堤(東)は、ヤード調整の影響でケーソンの製作を休止しているが、19年度ごろから製作を再開し、26年度の完了を目指す。

 国際海上コンテナターミナルは、船舶の大型化や増大する外貿貨物の需要への対応、港内の静穏度や船舶の避泊水域の確保のために計画。岸壁(水深14m~10m)、防波堤(東)の延伸、波除堤(中央)、臨港道路、ふ頭用地・道路・荷役機械・上屋の整備を行う。1992年度(平成4年度)に事業に着手した。全体事業費は約1079億円。岸壁の整備は完了している。

 また、07年度以降、臨海部に大手建設機械メーカーのコマツと日立建機の立地などにより、取扱貨物量や入港船舶数が増加。さらに、長周期波による荷役障害が顕著になってきたため、防波堤(東)や波除堤(中央)の整備に着手している。17年度末の進捗は、防波堤(東)は総延長2300mのうち1920m、波除堤(中央)は総延長330mのうち195mの見込み。進捗率見込み(事業費ベース)は、防波堤(東)は87・9%、波除堤(中央)は71・0%。

 一方で、15年より、東京電力フュエル&パワー常陸那珂火力発電所から排出される石炭灰を県が受け入れるため、廃棄物埋立護岸の整備を進めている。廃棄物埋立護岸の整備では、防波堤(東)のケーソン製作ヤードを利用する必要が生じ、その影響でケーソンの製作を休止。そのため、事業期間は現在は21年度までとなっているが26年度までに延長となる見込み。

 関東整備局では今回の事業評価について、事業全体の費用対効果として、便益(B。輸送コストの削減など)は2511億円、費用(C。事業費および維持監理費)は2084億円で、B/Cは1・2となり効果が費用を上回ると提示。残事業についても、便益(B)679億円、費用(C)74億円でB/Cは9・2と、便益が大きく上回ると試算。

 事業の必要性についても、岸壁の整備で大型船舶や増大する貨物需要への対応が可能になり、防波堤(東)や波除堤(中央)の整備によって港内の静穏度が確保され、船舶の安全な航行や避泊が可能となることを説明した。

 県からも、港湾機能の強化や事業の継続、さらなる整備促進が要望されており、関東整備局では、コスト縮減を図りながら事業を継続することが妥当と監視委員会に諮り、了承された。




【図=常陸那珂港国際海上コンテナターミナル整備事業 位置図】

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