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茨城県が社会保険等未加入業者との契約禁止/4月1日以降、違反は指名停止など

2018/03/20 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、4月1日以降に発注する建設工事について、受注者が社会保険等未加入業者と一次下請契約を締結することを原則禁止とする。違反した場合は、受注者に対して指名停止や工事成績減点などの措置が講じられる。社会保険等への加入が進めば技能労働者の処遇が向上し、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保が期待できる。県は今後も加入対策を進め、できるだけ早期の全業者加入を目指していく考えだ。

 県ではこれまで、建設業の許可申請時や経営事項審査時に、社会保険等未加入業者に対する加入指導を行ってきた。

 また、2013年から格付5業種(土木・建築・管・電気・舗装)のBランク以上を社会保険等加入業者に限定すると、15年には全ての一般競争入札の参加者を社会保険等加入業者に限定。昨年6月から全ての入札参加資格者(受注者)を社会保険等加入業者に限定するなど、さまざまな取り組みを進めてきた。

 併せて、12年6月から、社会保険等の加入に必要な法定福利費を予定価格に適切に反映できるよう改善。13年4月に設計労務単価を大幅に引き上げると、以降、労働市場の実勢価格を反映するため段階的に引き上げ、18年3月までに平均39・8%増加している。

 これらの取り組みの結果、県の社会保険等加入率は、国土交通省の公共事業労務費調査によると、17年10月の時点で99%となっており、取り組み前の11年(73%)と比べ、大幅に改善されている。

 そして今回の措置により、県発注工事において、一次下請を社会保険等加入業者に限定する。具体的には、県は、受注者から提出される施工体制台帳や、再下請通知書の健康保険等の加入状況欄で、下請負人の社会保険等加入状況を確認する。

 受注者は、下請契約に先立ち、候補となる建設業者から保険料の領収済通知書などのコピーを提示してもらい、確認するなどの対策が求められる。健康保険および厚生年金保険は領収証書や社会保険料納入証明(申請書)など、雇用保険は雇用保険被保険者資格取得等通知書(事業主通知用)などの書類があれば、保険に加入していることを確認できる。

 受注者が社会保険等未加入業者と一次下請契約を締結していた場合は契約違反となり、受注者に対し指名停止や工事成績の減点などのペナルティが課されることになる。指名停止期間は最低1カ月間。

 例外として、災害の応急・復旧工事などの特別な事情がある場合や、猶予期間内(おおむね30日)に加入したことが確認できる書類を提出した場合は、社会保険等未加入業者であっても一次下請契約を締結することができ、ぺナルティが課されることはない。

 社会保険等の加入手続きの窓口は、健康保険および厚生年金保険が年金事務所、雇用保険がハローワークとなっている。

 なお、二次以下の下請は、これまで通り受注者および当該未加入業者に対し、文章による行政指導を行う。

 このほかにも県では、4月から入札時に提出する工事費内訳書において、法定福利費(見積価格のうち、現場労働者に関する健康保険、厚生年金および雇用保険の法定の事業主負担額)の明示も義務付ける。

 また、全国統一の基準で実施される経営事項審査においても、4月から、未加入業者に対する減点措置の厳格化を実施。これまで社会性等(W点)における点数の算出方法は、合計値がマイナスとなる場合はゼロとみなされていたが、今後はマイナスとしてそのまま算定する。


 【資料=社会保険等未加入対策の概要、工事費内訳書】

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