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ガス発電実証実験へ共同研究体が協定締結

2018/04/26 新潟建設新聞

 長岡市が大原鉄工所、長岡技術科学大学など6者共同で提案した「小規模下水処理場を対象とした低コスト・省エネルギー型高濃度メタン発酵技術」が、国交省の2018年度「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」に採択され、このほど共同研究体による協定締結式が行われた。

 この技術は、施設規模や発電設備導入に係るコストの面で導入が困難とされてきた、小規模の下水処理場でのバイオガス発電を可能にするもの。事業費3億円を国が全額負担し、18年度から5年間を事業期間に中之島浄化センターで実証と自主研究を行う。本年度は設計と装置を設定し、19年度の稼働を予定する。

 実験では、高濃度濃縮と脱水を兼用する脱水機で処理した汚泥をガスホルダ一体型消化槽へ送り、バイオガス発電機で発電。実証技術の目標として、従来のエネルギー化技術との比較で維持管理費、建設費を4割削減、ガス発電による汚泥処理の電力費3割削減、汚泥搬出処分量2割削減を目指す。ガス発電機は、長岡技術科学大学と土木研究所の基礎研究を経て、大原鉄工所(長岡市城岡)が09、10、12年度長岡市フロンティアチャレンジ補助金を活用して開発、製品化した。

 研究体の代表は大原鉄工所が務め、総括、高濃度消化、消化ガス発電を担当。ほかに高濃度濃縮、脱水を西原環境(東京都港区海岸)、設計、評価、水平展開をNJS(東京都港区芝浦)、研究支援を長岡技術科学大学(長岡市上富岡町)、北海道大学(北海道札幌市)が行い、長岡市は現場管理を担当する。

 研究に係る協定締結書を交わした磯田達伸市長は「エネルギーの地産地消が期待できる。海外への普及、展開を目的にしたい」と感想を語った。また、大原鉄工所の大原興人代表取締役社長は「1年半かけてのパイロットプラントでの実験の成果が評価された。全国900カ所の小規模下水道処理場の財政負担にもつながると確信している」と話し、長岡技術科学大学の東信彦学長も「東南アジアや中国の本格的な下水道整備に日本の技術導入が期待されている。今後も市内の企業と協力し、技術、人材育成していきたい」と抱負を語った。

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