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建設業労働災害防止協会千葉県支部

「全国安全週間」始まる/年間最少一桁に挑む/建災防千葉県支部

2018/07/03 日刊建設タイムズ

 ――新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災――をスローガンとする「第91回全国安全週間」が1日、全国各地で一斉に始まった。県内の建設業における死亡災害は3年連続で減少し、昨年は過去最少の10人を記録した。本年の県内建設業の労災死亡者は、5月末現在で昨年より1人少ない4人。本年もさらなる「年間最少記録」に加え、念願の「年間一桁」の実現に向けて県内建設業界が一丸となり、ゴールめがけて驀進する。


 ◆近年「減少傾向」を加速


 第91回目の「全国安全週間」を迎えて、建設業労働災害防止協会千葉県支部の前田泰弘支部長は、支部としての労働災害の「現状認識」と「今後の取り組み」について言及した。

 本年3月までの第12次労働災害防止計画では、県内建設業の死亡災害の減少目標が11人となっていたことから「この目標は、一応達成したことになる」とした。

 引き続き、本年4月からの第13次労働災害防止計画の目標は「今後5年間で、県内建設業の死亡災害を15%以上減少させること」となるので、新たな目標は「8人以下」。前田支部長は「このところの減少傾向を加速させ、目標達成を目指したい」と意気込む。

 これまで長年にわたる重篤な労働災害の撲滅、特に、死亡災害の撲滅を目指して活動を続けきた同支部では、ここ3年間の千葉県内建設業における死亡災害の特徴についてまとめた。


 ◆過去3年43%が「墜落・転落災害」


 第1点は、墜落転落災害をはじめとする「三大災害関係及び交通労働災害の多発」。過去3年の総数37件のうち、16件(43・2%)が墜落・転落災害で占められ、4件(10・8%)が交通事故、建設機械等によるものが2件(5・4%)と続く。これらについて前田支部長は「数字の上でも三大災害と交通労働災害対策の重要性が裏付けられている」と指摘した。

 第2点として「死亡災害に占める非会員事業場の割合が依然として高率」なこと。同じくここ3年間37人のうち、27人(73・0%)が、元請・下請を含めた「非会員事業場で占められる」ことについて前田支部長は「非会員事業場の安全衛生水準が一概に低いと断定はできないが」と前置きしたうえで「今後、県内建設業での重篤な労働災害防止を推進するには、非会員事業場の解消が急務である」と強調した。


 ◆施工計画作成時のリスクアセス充実


 第3点としては「改修・更新・解体」の改修等工事における死亡災害が、同じくここ3年間に16件(43・2%)が発生していること。改修等工事は、施工に係る制約が多く、技術的にも難易度が高いことから「施工計画作成時におけるリスクアセスメントの充実を図る必要がある」と指摘。

 また、建設業以外では定常時の災害が大きく減少し、非定常時での災害が多発しているとされることには「元々建設業では非定常作業の比重が高く、とりわけ改修等工事は、非定常作業の比重が高い傾向にある」と分析。

 総じて「これら3点の傾向を踏まえ、安全対策の充実を図る必要がある」とした前田支部長は、「全国安全週間中に労働災害防止計画に示された実施事項とともに、県内建設業における死亡災害の特徴を再確認し、それぞれの立場で責任を持って取り組むことにより、実りある安全週間にしたい」との決意を込めた。

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