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(社)埼玉県電業協会

埼電協が安全大会/ヒューマンエラー抑止へ

2018/07/10 埼玉建設新聞

 埼玉県電業協会(岡村一巳会長)は4日、建産連研修センターで2018年度安全大会を開催した。埼玉労働局労働基準部健康安全課の田中康弘地方産業安全専門官が安全衛生活動について訓示。また元東京電気技術高等専修学校校長の菊地潔氏を講師に迎え、『ヒューマンエラー対策と施工現場における災害事例』をテーマに安全講話を実施した。菊地氏は「1人ひとりが強い気持ちで現場施工することが事故をなくす大きな要因」と、安全指示の伝達や準備の重要性を説いた。

 開催にあたり熊田弘信副会長は「きょうは事例などを踏まえながらヒューマンエラーに関する話があります。皆さまも1度や2度は経験があるかもしれませんが、ヒューマンエラーは大きな事故につながることもあります。しっかりと話を聞いて企業に持ち帰り、社内で指導していただければと思います」とあいさつした。

 訓示で田中氏は全国安全週間のスローガンの意味する内容や、埼玉第13次労働災害防止計画のポイント、ことし5月末の建設業における死亡災害発生状況などを説明。求められている改善策などを周知した。

 戦国の武将、毛利元就が3人の子に書いた三子教訓状に基づく三本の矢の教えを引き合いに▽労働安全衛生法の順守▽国の通達(ガイドライン)の徹底▽自主的安全衛生活動――の重要性を述べ、「私は正しいの正の字はいったん立ち止まることだと理解しています。一歩立ち止まりこれから自分が起こす活動が安全なのか確認することが大切です」と冷静な判断を呼び掛けた。

 引き続き菊地氏が安全管理について、ヒューマンエラーの具体的な対策を12の特性に分け解説。「対策の手立てがないという諦めの声も多いが諦めては駄目。人間は機械と違い臨機応変に対応できるが、時に自分勝手な行動を取る。対策の第一歩は原因となる人間の特性を知ること」と注意を促した。

 施工現場における災害事例では、ローリングタワー(移動式足場)の設置不備が招いた事故、店舗工事での感電、動力制御盤改造工事での焼損――のそれぞれのケースを紹介。菊地氏は「特にきょう話したいのはTBM(ツール・ボックス・ミーティング)の重要性と、指示した記録の保管の大切さです。準備を確実に行った場合の事故は非常に少ない。真の原因をいろいろな角度から考察して事故を減らすことを願っています」と話し講話を終えた。

 その後は積田優事故防止対策委員長の掛け声で、『新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全活動 惜しまぬ努力で築くゼロ災』のスローガンを唱和した。

 

 W TBM(ツール・ボックス・ミーティング)=職長を中心にその日の作業の内容、方法、段取り、問題点などについて短時間の打ち合わせで、指示伝達を行うもの。ツール・ボックス(工具箱)に座って行うことがあることからこの呼び名となった。

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