記事

事業者
山梨県峡東建設事務所

土砂災害抑止へ天川砂防の整備進む 県峡東建設

2018/08/02 山梨建設新聞

 県峡東建設事務所は笛吹市御坂町で天川砂防整備事業を実施している。えん堤整備や水の流れを緩やかにする渓流保全工を計画。下流域にスポーツ施設や公民館などがあるため優先的に土砂災害対策を進める。2021年度の完成を目指す。

 同町竹居地内などを流れる富士川水系天川の災害対策。下流域には御坂中学校や市民体育館などあり土石流が起きれば大きな被害が出る恐れがある。このため上流に土砂をせき止める砂防えん堤を追加。川の流れを緩やかにする階段状の落差工も施し、土砂の流出を防ぐ。

 現場は花鳥の里スポーツ広場(笛吹市御坂町大野寺)の南約1㎞に位置する。工事内容はえん堤1基の整備と425mにわたる流路工、それに伴う橋梁架け替えなど。えん堤は長さ61・5m、幅4~6・7m、高さ10m。友愛工業(同市)施工で1999年度に完成した。山梨リニア実験線近くに既存のえん堤があり、その上流に追加整備することで土砂の抑止力を高めている。

 現在は飯塚工業(同市)施工で橋梁架け替えが行われており渇水期に入り流路工も行う予定。橋梁はPC橋で橋長7・9m。昨年度に発注され上部のコンクリート打設などが進む。現場には休憩所が設けられ、猛暑の中こまめに水分補給しながら働く人の姿があった。天川沿いの坂道が現場までの進入路となるが「雨が降ったときは道路が川のようになり崩落している所もあって怖かった」(同社作業員)という。ただ安全には十分配慮されているため工事への影響はなく、予定通り本年度末には完成する見通しだ。

 2日には新たに床固め工の入札が行われる。飯塚工業の現場が動いているため、そこから離れた最下流部の整備を行う内容。整備延長は30m。この工事も年度内に完成させる。来年度以降も残る流路工を順次進めるが、予算状況によっては完成が予定の21年度以降にずれ込む可能性もありそうだ。

 大きな被害が出た西日本豪雨では、えん堤が跡形もなく壊れ土砂が流出する事例があった。えん堤が古く造りも今の規格より甘い可能性はあるが、建設時には落下してくる石の大きさも想定した上で設計しているため「まず壊れることはない」(同事務所河川砂防管理課)ようなもの。ハード事業だけで全ての災害を防ぐことはできないが、被害が軽減できるよう整備は急ぎたい。


【写真=橋梁の架け替えが進む現場】

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら