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3年間の継続委託試行/道路維持補修の民間委託/19年度は各建設事務所1件以上

2018/09/14 長野建設新聞

 県は現在年度単位で契約している「県管理道路維持補修業務の民間委託」について、2019年度分から3年間の「複数年継続委託」を試行する。公募型プロポーザル方式で委託者を選定し、年度ごとに特定者と随意契約する。初年度は各建設事務所1工区以上で試行する。

 方針は11日開かれた本年度第2回県契約審議会で報告された。道路維持補修業務の民間委託は10年度に試行を開始し、14年度以降は県内全域で完全実施している。対象業務は維持作業(穴埋め舗装修繕、草刈り、支障木除去、側溝清掃など)や小規模補修工事(1工事200万円未満の崩落土や落石・倒木等の除去、災害時の応急措置など)等。一部工区では冬期の除雪業務を一体化する取り組みも行っている(18年度の実施箇所は須坂建設事務所管内2工区、安曇野建設事務所管内1工区)。

 対象工種が多岐にわたるため、経営規模が小さくても地域に根差した企業が参入できるよう、複数の構成員からなる特定JVでの参加も認めており、本年度分97工区は全てJVと契約している。

 地域の安全・安心の確保や災害時の迅速な応急対応に大変有効である一方、契約が単年度ごとのため、受注者側は業務に係る中長期的な技術者の育成や機械化による生産性向上への投資など、計画的な体制の改善が困難となっている。このため県建設業協会はかねてより複数年契約を要望してきた経緯がある。複数年契約とすることにより、作業効率の向上や業務コストの縮減、受発注者双方の契約手続きや書類の簡素化といった効果も見込まれる。

 今回の試行に当たっては、業務の性質上「債務負担行為」や「長期契約」を適用できないため、あらたな方式(仮称・包括的プロポーザル方式)を導入。複数の業務について1回の公募型プロポーザルで特定者を決め、全体の基本協定書を締結。年度ごとに成果目標の設定と評価を行い、評価が良好な場合は継続、未達成の場合は次年度の契約は継続しない仕組みを導入する。審議会の議論で委員からは「年度ごとの評価は非常に重要。しっかりと制度設計してほしい」との意見が上がった。県は「今回の業務では、契約を継続しないという判断は難しいかもしれないが、成果目標が未達成の場合には改善を促し、次年度計画に反映できるようにしたい」と述べた。


■藏谷県建協顧問「河川・砂防包含や上限額引き上げを」

 また、藏谷伸一委員(県建設業協会顧問)は「道路施設だけでなく、対象に河川・砂防関係や森林整備も含めることは考えていないのか」と質問。これに対し県は「河川・砂防関係については検討中。今回は道路のみを考えている」と回答した。藏谷委員は小規模補修工事の1件当たりの上限額についても「必要な対応を行えるのか。200万円という上限額は、それまでの100万円から1993年に引き上げられたもの。見直しが必要な時期に来ているのではないか」と提起した。

 19年度の民間委託の募集公告は来年2月上旬が見込まれており、県は今後要領を整備し、来年1月に施行する予定。

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