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山梨県甲斐市

フラワーパークアンドミュージアム計画に賛同の声 緑化センター跡地活用で説明会

2018/11/01 山梨建設新聞

 甲斐市はこのほど、敷島総合文化会館で県緑化センター跡地活用に関する2回目の地元説明会を開き、参加者からは公園・美術館案に賛同する意見が上がった。人口減少による地域経済の先細りが懸念されるなか活性化の起爆剤となり得る「大きなチャンス」と計画案を評価。賛成者から拍手もあがった。一方でなるべく事業費を掛けず、そのまま緑地として使うべきとする声もあった。市は出た意見を市議会に報告し今後の事業の方向性を固める。

 こうした地元説明会では計画賛成派よりも反対派が集まる傾向が強く、賛同意見がゼロということも少なくない。だがこの日は計画に否定的な意見を打ち破るように賛成派が手を挙げ、事業の必要性を強力に訴えた。

 「甲斐市がこのまま福祉と教育にお金が出ていく状況が続けば、いずれは(財政破綻した)北海道の夕張の二の舞になる可能性もある。現状、大きな工場や大きな企業の誘致は非常に難しい。リニアや中部横断道などでアクセスの利便性が高まったところでインパクトのある事業を行う。周辺に企業も生まれる。市の財源がなくて豊かになれるのか。みんなが働ける雇用環境があって所得が得られ、市に税金が入る。こうした基本的なサイクルを考えていかないと何も豊かなものは生まれない。これは大きなチャンスだ。収益性といっても、そこ(公園・美術館)に大きな収益性が出るわけではない。その周りがいかに経済効果を得ることができるかだ」。

 この意見に一瞬反対派は黙り賛成派からは拍手がわき起こった。また賛成派からは「人口減少が叫ばれるなか、行政側で地域を活性化させるという案を出すのは良いこと。事業を進めていき地域が明るくなっていけばいい」と、事業実施による地元の活性化に期待する声もあった。

 一方で第1回の地元説明会同様、美術館の必要性や事業の採算性をなどを理由に、今の樹木を生かし最低限の整備にとどめた公園を望む意見も出た。経営破綻した南アルプス市の「完熟農園」を引き合いに出し、行政が収益性を目的とした事業を進めるのを心配する声も聞かれた。

 説明会のまとめに市企画政策部の輿石春樹部長は集まった住民に向かい熱く語った。「分かってもらいたいのは、すべてを有料の施設にするつもりはないということ。1区画は既存の樹木を残し市民の方が自由に出入りできて、いろいろなイベントができるような公園。それとは別に甲斐市の商工観光を活性化するための核となる施設が必要だ。その施設で黒字にするということは考えていない。少しでも公園の維持・管理の財源が確保でき、市内への波及効果が得られる。たくさんの人が集まれば周りの商店や市内の観光施設などが潤う。将来的な人口減少対策の一つとしてバランスの取れた計画をしていかなければならない」。

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